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テキはトモダチ
10. あなたと空を駆け抜けたくて(前) 〜赤城〜
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「まぁその辺は聞いてないから知らないクマ」
「なるほど」
「というわけで、チームの変更をお願いしたいクマ。さすがに空母二隻と軽巡二人だとパワーバランスが……」
「わかりました。では私と球磨さん、鳳翔さんと天龍さんでどうです?」

 この組み合わせだが、特に理由はない。理由はないけれど、なぜか私は天龍さんの敵に回りたいのだ。そして彼女のことを存分にすりつぶしてやりたくなる。なぜだろう?

「分かったク……クマ?」

 返事をしようとしたクマさんが、返事をやめ、自身の膝を見た。私もつられて膝を見ると、子鬼さんがいない。いつの間にかテーブルの上に移動し、窓のそばで海を眺めていた。

「こらー子鬼ー」
「……」
「テーブルの上に立っちゃダメ……」
「……」

 球磨さんが子鬼さんを諌めようとして、やめる。子鬼さんの後ろ姿はいつもと変わらない。けれどその微動だにしない後ろ姿は、私にはなぜか寂しそうに見えた。そしてきっと、球磨さんもそれを感じている。

「どうかしたクマ?」
「……キヤァァァアアア」

 子鬼さんが振り返り、再び球磨さんのアホ毛を掴んで遊んでいた。鮫のような顔つきとむき出しの歯茎がキモいのは変わらない。でも、私と球磨さんは見逃さなかった。

「……赤城」
「ええ」
「キャッキャッ……」

 球磨さんと視線で会話をする。『赤城も気付いたクマ?』と目で訴えていた。私も『もちろん』と返事を返す。

「あ、赤城さんおはようなのです!」
「おお、赤城の姐さん! それに球磨もおはよー!!」
「あ、子鬼もいた! 朝っぱらから私に心配をかけるな!」

 タイミング良く電さんたちが食堂に入ってきた。集積地さんと天龍さんも一緒だ。

「電たちも一緒に食べていいのです?」
「いいですよ! どうぞ!」
「ありがとうなのですー!」
「おっしゃー行こうぜ電ー集積地ー」

 すでにご飯が乗ったお盆を持っていた3人は、そのまま私たちのいるテーブルに来て椅子に座る。電さんは私の隣に座り、集積地さんは球磨さんの隣で私の向かいに座った。天龍さんは……

「やっぱ俺はここじゃないとなー!」

 と通称『お誕生日席』に座っていた。

「クマ、面倒を見てくれてありがとう」
「別にいいクマ。お行儀のいい子クマねー」
「キャァアアア!」

 確かに球磨さんのいうこともよく聞いて、とてもお行儀のいい子だとは思う。でも、アホ毛を散々引っ張られながら言われても説得力はない気がするが……それでも顔色一つ変えず笑顔でそう言い切る球磨さんは流石だ。

 球磨さんのアホ毛で一通り遊んだ子鬼さんは、そのまま集積地さんの膝の上に座った。『なんだ。アカギにここまで連れてきてもらったのか?』『キャッキャッ!』という会
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