第1章 スタンダード次元篇
ペンデュラム召喚
第1話 烈火の一撃!! 焔の武装龍使い「焔龍牙」
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そうになっていたペンデュラムを龍牙はキャッチする。
「わりぃわりぃ。急に声をかければビックリするよな」
謝りながら、龍牙はペンデュラムを少年に返す。
「ありがとう。危うく、落とすとこだったよ」
「俺が招いたタネだから、礼はいらねぇよ──榊遊矢」
「ッ!」
「おまえ、明日のストロング石島ファン感謝デーのスペシャルマッチでチャンピオンとデュエルする榊遊矢だろ?」
そう。龍牙が話しかけた少年こそ、龍牙が楽しみにしている明日のストロング石島ファン感謝デーのスペシャルマッチでチャンピオンとデュエルする榊遊矢であった。
「俺が榊遊矢だって知ってたから話しかけたのか?」
「まぁな」
遊矢は再び舞網スタジアムのほうを眺める。
「明日のデュエルで緊張してる──て感じじゃねぇな? どうしたんだ?」
「ちょっと、な。これをチャンスだと思っているんだ」
「チャンス?」
「本当のエンターテインメント・デュエリストになれるかどうかのさ」
「エンターテインメント・デュエリスト?」
「エンタメデュエルっていう観客に笑顔を届ける父さんのようなデュエリストのことさ」
「へぇ、それはおもしろそうなデュエルだな。で、『本当の』ってのは?」
「俺、父さんが行方をくらました三年前から、自分が笑われることで周りの人を笑わせていたんだ」
「辛い現実から逃げるためか?」
「??????ああ」
遊矢の父親、榊遊勝が行方をくらましたことは遊矢に強いショックを与えた。そこへ、周りの人が父親を『卑怯者』、『臆病者』と罵り、その矛は息子である遊矢自身にも及んだ。その辛い現実から目をそらし、逃げるために、遊矢は滑稽な道化の仮面をかぶった。
「でも、俺が本当にやりたいデュエルは、父さんのような、皆に笑顔を届けるデュエルだ! だから──」
「明日のデュエルは、そのために生まれ変わるための第一歩ってわけか」
遊矢は本当にやりたいデュエル、周囲を笑顔で溢れさせるエンタメデュエルをやるため、いままでの道化の仮面を破り、新たなる自分に生まれ変わろうとしていた。
そのために、因縁浅からぬストロング石島とのデュエルを自らの意思で受け、困難に立ち向かう決意をする。
「って、なんで俺、今日初めて会った人にこんなこと話してんだ?」
「そんなこと、本人がわからないのに、俺にわかるわけないだろ? けど、自分を変えるために困難に挑む、か。いいな、そういうの。明日のデュエル、ますます楽しみになってきたぜ!」
「はは、ありがとう」
遊矢はゴーグルを外し、龍牙と向き直る。
「なら、楽しみにしているお客さんのために、明日は大いに盛り上げなくちゃね!」
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