第三章 エリュシオンの織姫
第9話 人類の挑戦
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れた。
その政治的空白を埋めるべく、総辞職から間も無く城茂大臣を筆頭に置く臨時内閣が台頭。シェードのテロによって混迷の時代に立たされた日本を立て直すべく、日夜奔走していた。
一方。事件を生き延びた番場遥花を含む数名の被験者は、日本政府から離れICPO本部に護送されていた。現在はそこで世界各国から結集した研究チームによる、改造人間の能力を無効化する治療を受けている。
サイバネティクスにおける世界的権威である結城丈二博士の尽力もあり、現在は被験者の能力暴走も沈静化に向かっているようだ。
今では、被験者に対する国民のバッシングも薄まっている。彼らに関する負担を外国が請け負ったことで、非難する理由を失ったためだ。
――それに「仮面ライダーとシェードの共倒れ」が周知されたことで、国民感情が安らいだことも大きい。
すでに仮面ライダーとシェードの決着は世間にも知れ渡っており、今では誰もが仮面ライダーの功績を讃えるようになっていた。
だが、それは「仮面ライダーはシェードと相討ちとなりこの世から消えた」と公表されたからに他ならない。ライダーの存命が周知されていれば、その力を恐れるあまり民衆は彼らを「恐ろしい殺人鬼」と糾弾していただろう。
そのような人間の弱さというものを嫌という程知っているからこそ、番場総監とロビンはそのように公表したのだ。
それに、仮面ライダーが消滅したというのはあながち嘘でもない。
事実、アウラによる最後の秘術により南雲サダトは人間に戻り、現在は「シェードに長らく囚われ、改造人間の適性も皆無だったために労働力として使役されていた」とされ入院生活を送っている。来年には、シェードの拉致から解放された一般人として城南大学に復学する予定だ。
すでに「仮面ライダーAP」としての彼は、この世にいないのである。
さらに仮面ライダーGも行方不明であり、その居所はICPOの総力を挙げても見つからなかった。彼の恋人だったという女性シェフも消息を絶っており、二人して雲隠れしてしまったものと思われる。
片方は行方知れずとなり、もう片方はすでに改造人間ですらない。仮面ライダーは、確かにこの世界から消え去ったのだ。
だがロビンは、これで良かったのかも知れない――とも考えていた。
仮面ライダーも怪人もいない世界。それをきっと、宇宙へ帰ったエリュシオンの織姫も願っていただろう――と。
(南雲君。君と彼女の絆を引き裂いたのは、我々の不徳の致すところだ。……その罪を贖うことこそ、この時代に生き延びた人間の役目であると、私は信じている)
窓の外から見下ろせば、このような時代の中でも笑い合い、手を取り合い生きている人々の姿が伺える。
そんな彼らの
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