第三章 エリュシオンの織姫
第7話 覚悟と銃声
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ネを走らせ、一気に追い上げていく。地形が安定しない林の中を跳ね回りながら、その赤い車は瞬く間に戦車の隣に舞い戻ってきた。
『ちっ……聞き分けの悪い小僧だ。なら、まずはその「足」を頂いておくとするか!』
羽柴は一瞬舌打ちした後、砲身をアメノカガミノフネに向ける。妨害を繰り返すサダトへの対処として、その移動手段である車を潰すことに決めたのだ。
(――今はまだ計画のためにも、殺すわけにはいかない。まずは、奴の動きを封じねばな)
だが。
アメノカガミノフネは、その照準を振り切るようにさらに加速し――砲身の回転が間に合わないほどのスピードで、タイガーサイクロン号の斜め前方に回り込んでしまった。
『……ほう? 的になりに来るとは、奇特な小僧だな』
(照準は奴の方が遥かに手慣れてる、逃げ回れるのも時間の問題。……それに決定打が打てないまま、この調子でいつまでも走ってたら……奴を施設の目前まで案内してしまう。手を打つなら、今しかない)
(施設に辿り着かれてしまうことを恐れる余り、焦り出したか。あるいは、そう思わせるための演技か。……面白い、ならば乗ってやろうではないか。お前に何ができるか、何が守れるか。この老いぼれに篤と見せてみろ)
だが、ただ撃たれるために正面近くまで追い抜いたわけではない。彼は、早期に決着を付けるべく「賭け」に出たのだ。
それを知ってか知らずか、羽柴は敢えてその「誘い」に乗り、照準を前方付近で走り続けるアメノカガミノフネに定めた。
――それから間も無く。タイガーサイクロン号の砲弾が唸りを上げ、撃ち出された。
高速で道無き道を駆け抜ける赤い車を、その破壊の申し子は一瞬にして鉄塊に変える。
命中を告げる爆炎と黒雲が、羽柴の視界を封鎖した。
(……この手応え。やはり、あの車は間違いなく撃破したようだな。……見込み違いとは、俺らしくもない)
黒雲の外へ飛び散るタイヤや赤黒い鉄塊を見るに、アメノカガミノフネが破壊された事実は明白。やはり、焦りから出た無謀な行為だったのか。
「……フゥ」
計画の邪魔者がなくなったことへの安堵か。これしきのことで「足」を失った南雲サダトへの失望か。あるいは、その両方か。
羽柴はタイガーサイクロン号の中で、深くため息をつく。
――その時だった。
『FINISHER! VOLLEY MACHINE GUN!』
「……なにッ!?」
黒雲の向こうから突如響き渡った、電子音声。その音の「方向」に驚愕し、羽柴が操縦席の背もたれから身を起こす瞬間。
――黒雲を裂くように。タイガーサイクロン号の正面に、仮面ライダーAPが出現した。両手の機銃を、こちらに向けて。
しかもその銃口には、すでに黄色いエネルギー
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