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仮面ライダーAP
第三章 エリュシオンの織姫
第5話 促された覚醒
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人間の膂力でも容易に千切れない特別製の鎖が備え付けられている。

 その、改造人間のパワーでも破壊できない拘束具が――自分の腕で、無残に千切られてしまっているのだ。
 ほんの、飛び起きた際の弾みだけで。

(……意識的に力を入れたわけでもないのに、対改造人間用の鎖がこうも簡単に……!?)

 サダトは半信半疑のまま、寝台に両手を着いて力を込める。――水に濡れたダンボールのように、寝台がひしゃげたのはその直後だった。
 明らかに、APソルジャーの……否、今までの改造人間のパワーから逸脱している。

(な……んだ、この力は!? それにこの格好……!?)

 原因が見えない異常なパワーアップ。その謎が解明されないまま、サダトは自分の身体を見下ろす。
 服装はあの時のままであり、すぐにでも外に出れる姿になっていた。しかも、ガラス状になっている床下には、整備された「アメノカガミノフネ」までこれ見よがしに配置されている。

(不自然過ぎる。見たところシェードのアジトのようだけど……人が全然いないし、まるで脱出するよう促されてるみたいだ。罠、か……?)

 拘束具を容易く破れるパワー。元通りの服装に、目に見える位置に置かれたアメノカガミノフネ。
 脱出のチャンスには違いないが、些か出来過ぎている。

 罠の可能性は非常に高い。考えられそうなのは、アメノカガミノフネにエンジンをかけた瞬間爆発――といったところか。

「……」

 サダトは訝しむような表情のまま、その力を活かしてガラス床を蹴破り、アメノカガミノフネの隣に着地する。
 そのまま車体のあらゆる箇所を点検したのだが――爆薬に当たるようなものは、最後まで見つからなかった。

(なんだ……? 本当に何もないぞ。一体、俺を捕まえたあの男は何が狙いで……)

 あの男――重戦車に乗っていた老境の軍人は、「改造人間の商品価値を証明する」という旨を主張していた。
 自分を強化改造した上で逃亡させることが、それに関係しているとでも云うのか――。

 答えは見出せず、サダトは暫し思案する。だが、やがて彼は結論を出せぬまま、アメノカガミノフネに乗り込みエンジンを掛けた。
 企みは読めないが、こうして立ち止まっているうちにも被害は拡大しているかも知れないのだ。とにかく今は、すぐにでも外に出て情報を集めるしかない。

(……渡改造被験者保護施設がやられた、としたら……次は風田改造被験者保護施設か。あいつは、政府に保護されている被験者を皆殺しにすると言っていた。……なんとしても、止めないと)

 仮面ライダーは、人間の自由と平和を守る正義の味方。例え正義が自身の味方でなかろうと、その歩みを止めるわけには行かないのだ。
 例え改造被験者であるとしても、罪のない人であ
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