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仮面ライダーAP
第三章 エリュシオンの織姫
第1話 聖女の偽善
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分を守るために仮面ライダーとなり戦う道を選んだ。自分が、全ての被験者達を救ってくれると信じて。

 それに対して、当の自分はその想いに応えられなかったばかりか、余計に被害を拡大させる結果を招いていた。

 彼が奪った命以上の人々を救っているのに、自分は救った命以上の犠牲者を出している。

 彼は自分を犠牲にしてでも、より多くの被験者が助かることを望んでいたのに。自分は、その大恩を強烈な仇で返してしまった。

 最愛の人を、計らずも最悪な形で裏切ってしまったことに、アウラはより深く絶望し自殺まで試みるほどに病んでしまう。
 それに気づいたロビンにより自殺は阻止されたものの、彼女の胸中に渦巻く絶大な罪悪感が拭われることはなかった。

 その自殺未遂から一週間が過ぎた今日。
 彼女は、ある決意を固めていた。

 例え、愛する彼に裏切り者と呼ばれようと。志半ばで使命を放棄したと糾弾されようと。

 この星を去る前に、彼だけは生身に戻す。それが、自分に出来る最後の仕事だと。

 ◆

「……私が力を行使するリスク。それくらい、分かり切っていることです。それでも、改造されたあの人を置き去りにしたまま帰ることなんて出来ない!」
「アウラ様……」
「私は行きます。例え、私を匿って下さったあなたを殺めてでも」
「……」
「もはや私は、この地球を蝕む災厄そのもの。ならばせめて、悪人として汚名を背負いながら……あの人を救います」

 決意の宿った碧い瞳は、ロビンの眼を真っ向から射抜いている。
 それはつい先日まで、絶望と後悔に打ちひしがれていた彼女からは想像もつかない強さを帯びていた。
 それだけで、南雲サダトへの深い愛情と執着が窺い知れる。

「……わかりました。私の、負けです。あなたにこれ以上泣かれて、外宇宙に睨まれるのは私も御免ですからね」
「……」
「ただ、約束してください。彼に再会するまで、決して私のそばを離れないと」
「ええ、わかっています。……ありがとう、アーヴィング捜査官。無理言って、ごめんなさい」
「構いませんよ。これで最後だと思えば、ね」

 ここまで件の仮面ライダーへの偏愛を拗らせている状態では、もはや説得は不可能。ロビンは長年の経験則からその結論に至り、深く肩を落とす。
 女性経験が豊富な彼は、こうなった女の行動力は口で止まるものではないと熟知しているのだ。

(仮面ライダーAP、南雲サダト……か)

 アウラから視線を外し、ロビンは青空を仰ぐ。彼はこれから会うことになるであろう仮面ライダーに、思いを馳せていた。

(彼がいなければ、私の妹も助からなかったのだろうな。……私にとっても、その恩に報いるまたとないチャンスなのも知れん)

 愛する妹を救ってくれた大恩人。そ
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