第三章 エリュシオンの織姫
第1話 聖女の偽善
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――アウラ様。あなたのお力により、大勢の人々が救われたことは事実。私の妹も、あなたのおかげで人間の体を取り戻すことができた。そのことは、深く感謝しています」
「……」
「ですが。先ほどもお話した通り、あなたのお力は危険なのです。これ以上その力を行使されては、我々でもあなたを匿い切れない。……あなたの影響により生まれる粗悪な被験者を、増やすわけにはいかないのです」
ロビンの言葉に、アウラは桜色の唇を噛み締め拳を握り締める。血が滲みそうなほどに力が込められている様から、彼女の憤りの強さが伺えた。
◆
――外宇宙の惑星「エリュシオン星」。その姫君であるアウラは、改造人間を生身の人間に戻す秘術を持っている。
彼女は約1年前からこの星に来訪し、独自にシェードによる改造被験者を治療する旅を続けていた。
それから、半年。元凶の地である日本の東京に足を運んだ彼女は、そこで運命的な出会いを果たしていた。
己の限界を嘆くあまり、自暴自棄になりかけていた自分を支えてくれる男性――南雲サダトとの邂逅である。
彼との交流を経て、前向きな姿勢を取り戻しつつあった彼女は、再び被験者救済の旅に向かおうと考える。
――だがその矢先、シェードにより南雲サダトが誘拐される事態が発生した。アウラの恐れは的中し、彼は改造人間にされてしまう。
だがそれでも、アウラを信じる姿勢を崩さずあくまで味方でいると宣言する彼に、アウラは再び救われた。
斯くして南雲サダトは「仮面ライダーAP」となり、シェードとの戦いに参加。シェード残党の一人・ドゥルジを打倒した後、彼女の前から姿を消した。
それはまるで、人間に戻そうとする彼女を、拒むかのように。
それが、人間に戻るよりアウラを守るために戦うことを選んだサダトの決断であることは、想像に難くなかった。
以来、アウラはサダトの行方を捜しながら、行く先々で被験者を治療する日々を送っていた。アグレッサーにより東京が半壊した際も、被災者の炊き出しに参加していた。
――そうして、愛する男を探す旅を続けていた彼女の前に。一ヶ月前、インターポールの使者としてロビンが現れたのだ。
彼が語る、異星人の姫君が地球に齎した功罪。――それは、アウラの存在意義を根底から覆すものだった。
◆
決して完全な生身には戻れない。今の科学力では、そこまでの実現はできない。
その常識を破るように、次々と生身を取り戻していく被験者達の情報から、各国は水面下でアウラの存在に辿り着いていた。
改造人間を生身に戻せる秘術の持ち主。それが本当なら、その力を手にすることでどれほどの利益が手に入るか。彼女に気づいた誰もが、その利益を追い求めるようになった。
改造人間を元の人間に戻せる。
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