第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第19話 生きるべき世界
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ら、サダトは拳を握り締めた。
「……アグレッサーが等身大まで縮みかけている。第1形態まで完全に戻るのも、時間の問題だ。……終わらせよう、ここで!」
「――うんっ!」
彼の呼びかけに応じ、止まらない涙を袖で拭いながら、比叡も元気に溢れた強気な笑みを浮かべる。
仮面越しに、そんな彼女の姿に微笑を送りながら。サダトは再び一斉砲火の体勢に入ろうとしている全艦隊と共に、最後の一撃に臨もうとしていた。
「夕張さん。この力、有り難く使わせて貰います!」
アメノカガミノフネの残骸の上に立ち、アグレッサーと真っ向から向き合うサダト。彼はベルトからワインボトルを抜き取ると、夕張から託されたもう一本のボトルを取り出した。
達筆で「比叡」としたためられた、和風のラベル。その文字を一瞥しつつ、サダトはベルトにそのボトルを装填した。
『SHERRY!? COCKTAIL! LIQUEUR! A! P! SHERRY!? COCKTAIL! LIQUEUR! A! P!』
空に響き渡る電子音声。その場違いなほどに軽快なサウンドを、耳にしながら。サダトはベルトのレバーを倒し――ボトルから迸るエネルギーを、全身に循環させて行く。
漆黒の外骨格の全身を巡る、「黄色」のエネルギーライン。その異色の力が彼の全身を駆け巡り――「仮面ライダーAP」の赤いライン部分は、全て黄色に塗り替えられて行った。
さらに、その両腕には戦艦の艦娘が備えている「7.7mm機銃」が装着されていた。高速戦艦「比叡」の武装の一部である。
『HIEI! WE'RE GONNA KILL THIS!!』
そして。
変身完了を告げる電子音声が轟く瞬間、アグレッサーへの集中砲火が始まった。
海を荒らす外敵には、容赦はしない。必ず、この場で裁きを下す。
揺らぐことのないその決意が形となり、鉛玉や爆弾となり、降り注いでいるようだった。
我が身を守る鎧を全て失ったためか。第3形態の時はあらゆる攻撃を弾いていたアグレッサーも、第0形態となった今は絶叫と共にのたうちまわるばかりとなっていた。
枯れ木のような身体は爆炎に焼け爛れ、巨大なゾンビのような容貌になりつつある。その、どこか痛ましい姿に――サダトは同じ改造人間として思うところがあるのか。仮面の奥で、苦虫を噛むような面持ちとなっていた。
(……終わりにするんだ。今、ここで)
だが、引き金を引くことに迷いはない。今さら助けるには、自分も相手も血を流し過ぎた。ならばせめて、楽に眠らせる。
それが、サダトが導き出した決断だった。
全艦隊の一斉砲火により満身創痍となり、赤黒く焼け爛れた巨人は。いるはずのない父を探すかのように、首を捻り続けている。
己の死期を悟
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