第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第19話 生きるべき世界
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熱線となりはち切れようとしていた。
「だっ……だめえぇぇえぇっ!」
艦娘達を指揮する役目を担う、二人の司令塔。彼女達が地獄の残り火に焼き払われてしまえば、艦隊は間違いなく大混乱に陥る。
最悪、第0形態を取り逃がしてサダトが作ったチャンスをふいにする可能性もあるだろう。第1形態に戻られて見失うようなことがあれば、もう自分達で対処できるかもわからなくなってくる。
なんとしても、リーダーである彼女達を守らねば。間に合わないと知りながら、金剛の制止を背に受けながら、それでも彼女は――比叡はひた走る。
届くはずのない、手を伸ばして。
「……ライ、ダァアァアァッ!」
だが。
悲劇に終わるはずだった、この一閃は。
不遜な乱入者の横槍によって、阻まれてしまうのだった。
「キィィイィックッ!」
「――!」
海の底から突き上げる怒号。張り裂けんばかりの絶叫と共に、海面を突き破り垂直に舞い上がる飛び蹴りが、アグレッサーの顎を打ち抜いた。
呻き声を上げ、力づくで再び真上を向かされた巨人。枯れ果てた顎の奥からは、素麺のようにか細い熱線が伸びていた。
周囲に荒々しい波紋を起こし、耳をつんざく奇怪な音と共に。次元破断砲が、最後の熱線を吐き終えて行く。
今度こそ、アグレッサーに抗する力はない。さらに干からびて行く彼の者の身体は、塩をかけられたナメクジの如く縮み始めていた。
――だが、全艦隊の視線は万策尽きたアグレッサーではなく。海中からその巨大な顎を蹴り飛ばし、灰となったアメノカガミノフネの残骸の上に着地した「影」に向かっていた。
今となっては見慣れてしまった、その「影」。夢でも、幻でもないそのシルエットに、艦娘達は驚嘆と共に一つの真実に辿り着く。
「……南雲君っ!」
「すまない、遅くなった!」
南雲サダトは、今もこうして生きている。そしてまだ、戦いを続けている。仮面ライダーは、死んではいないのだと。
「あの放射から生き延びたのデスカ!? とんだラッキーボーイネ!」
「アグレッサーは自分の邪魔をする『アメノカガミノフネ』が狙いでしたから。ギリギリまで粘って、海の底まで潜っていたんです」
「海の底……!」
「……潜水艦が艦隊にいない我が鎮守府では、まず辿り着かない発想ネー。何にせよ、生きててくれてサンキューデース!」
「よかった……! 南雲君、本当によかったっ……!」
「比叡! まだ嬉し泣きには早いネー!」
南雲サダトの戦線復帰に、意気消沈しかけていた艦隊から歓声が上がり――彼女達の眼に、再び火が灯る。
そんな仲間達の姿を一瞥し。涙を貯めて破顔する比叡を見つめなが
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