第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第18話 スクナヒコナ作戦
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
赤城のその反応から、状況を悟った部下四名は、示し合わせるように左右に「道」を開けた。
「……南雲さん、ご武運を!」
「はいッ!」
――その道を、「アメノカガミノフネ」が突き進む。赤城の激励に応える彼は、仮面の戦士としてこの海域に踏み込んでいた。
全艦隊の包囲網を突き抜けるように、一直線に水を切り疾走する九五式小型乗用車。その車体を操るサダトは、仮面越しにアグレッサーを睨み上げながら、足柄や雷の傍を横切って行く。
(南雲君……!)
その光景を遠巻きに見守りながら、拳を握る比叡。そんな彼女の視線を他所に、サダトはハンドルの隣に現れたワインボトルの差し込み口に、素早くボトルを装填した。
「……行くぞ、割戸神博士ッ!」
刹那。
アメノカガミノフネの車体は、赤い電光を纏い――爆発するエネルギーに、その身を舞い上げられて行った。
大和級の艤装を素材に造られたボディは、生半可な重量ではない。にも拘らず、マシンアペリティファーに組まれていたスワリング・ライダーブレイクの射出機能は、アメノカガミノフネの車体すらも紙飛行機のように吹き飛ばしてしまったのである。
原子炉プルトニウムが秘める超常的エネルギーは、超重量の水陸両用車すらも容易く宙に舞わせてしまうのだ。
「おおぉおぉおッ!」
うつ伏せに倒れ込み、次元破断砲の発射体勢に入ろうとしていたアグレッサー。その顔面に、赤い電光を纏うアメノカガミノフネが、質量にものを言わせて激突する。
その衝撃と轟音に、空気はさらに振動し海面の波紋が噴き上がった。仰け反ったアグレッサーの頭上を、アメノカガミノフネが通り過ぎていく。
「そこだッ!」
だが、この一撃は今の状況を作るための布石でしかない。アグレッサーの頭上まで舞い上がった瞬間、アメノカガミノフネから二本の錨が打ち出された。
鉄の錨はしなるように真下へ伸び――アグレッサーの二つの複眼に、突き刺さる。目に錨を刺された激痛に、巨人はのたうちまわるように首を振った。
「取ったッ!」
サダトはそのまま、アメノカガミノフネをアグレッサーの後方に着水させる。大和級の重量が50メートル以上の高さから落ちてきたこともあり、その衝撃から舞い上がる水飛沫は雲に届くほどであった。
そして、仰け反ったアグレッサーに錨を突き刺したまま。アメノカガミノフネは彼の者から逃げるように、最大戦速で動き出した。
だが、その車体が前進することはない。錨と車体を繋ぐ鎖がどれほど張り詰めても、アグレッサーの複眼とアメノカガミノフネは、強固に繋がれたままとなっている。
体勢を崩した状態から眼に錨を打ち込まれ、ただでさえ姿勢が不安定なのに後方に引っ張られては、さしものアグレッサーも思い通りの発射体勢
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ