第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第15話 結ばれる友情
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かさを増して行く甘味処まみや。そんな彼女達の中心で談笑するサダトを、加賀と瑞鶴は神妙に見つめていた。
「む? これは……ワインボトルか。ふむ、今宵の供に良いかも知れんな」
「ちょ、ダメです那智さん! それは俺の変身アイテムで……!」
「いいじゃんいいじゃん、固いこと言わないでさぁ。今夜はお姉さん達と飲み明かすわよー?」
「ダメですってば足柄さぁぁん!」
妙高型の姉妹二人に絡まれ、おもちゃにされているサダト。そんな彼が、変身していた「あの姿」に――加賀と瑞鶴は、どこか既視感を覚えていた。
(……変、ね。なんだか、どこかで会ったことがあるような……ううん、そんなはずない)
(あの巨大飛蝗も、変身した彼の姿も……どこかで見たような気がする。だけど……あり得ない話よ)
燃え盛る街の中。巨大飛蝗に立ち向かう、仮面の戦士。そのビジョンが、二人の脳裏に過っている。記憶にあるはずのない、その光景が――彼女達の中に、焼き付いているようだった。
それと同じ感覚を、妙高型の二人や駆逐艦四人組も味わっていたとは、知る由もない。
◆
「はぁ……えらい目に遭いましたよ」
「あっははは! 足柄は相変わらず野獣デスネー! ま、根の善良さは保証するので仲良くして欲しいデース」
「だ、大丈夫です。……多分」
その後、金剛に招かれたサダトは、比叡が起きたと聞いて彼女の後ろに続いていた。今は霧島や榛名と共に、艦娘寮裏でティータイムに入っているという。
「しかし、なんだか不思議ネ」
「……?」
「南雲君の事情は話でしか知らないはずなのに……その光景が妙にハッキリとイメージ出来るんデース。まるで、本当にそこにいたかのように……」
「え……」
「もしかしたら、向こうの世界に住んでいるもう一人の私が、自分の記憶を伝えてくれているのかも――あ、霧島! 榛名! 今戻ったデース!」
金剛がふと漏らした、不可思議な体験。その意味をサダトが勘ぐるより先に、妹達を見つけた彼女が声を上げた。
榛名と霧島は華やかな笑顔で手を振っている。彼女達が腰を下ろしている椅子やテーブルは、西洋風の流線的なデザインだ。
「お帰りなさいませお姉様。南雲さんもようこそ」
「あれ? 霧島、比叡はどこに行きましたカー?」
「それが……」
だが、サダトが最も会いたがっていた肝心の比叡の姿が見えない。訳を尋ねた姉から視線を逸らし、霧島は苦笑を浮かべる。
そんな末妹を見やりながら、三女の榛名が同じく苦笑いを浮かべて釈明した。
「南雲さんが来られると知った途端、真っ赤になって逃げ出してしまわれて……波止場の方まで」
「あらら……世話の焼ける子デスネ。南雲君! ここからは男の仕事ネー! すぐ追い掛けるデース!」
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