第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第14話 一航戦の試練
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叡。よく見るネ。赤城も加賀も、南雲クンも、全く満足してないデス。せっかく10分も時間を取ったのデスから、最後まで好きにやらせてあげるデース」
「……!」
だが、金剛は不敵に笑いながら、戦場に立つ三人を見守るばかり。彼らはどちらも止める気配を見せず、試練を続行していた。
どれほど爆炎が上がっても、爆風が肌を撫でても。彼らは互いに引くことなく、力を尽くしている。
片方は、力と覚悟を「検証」するために。片方は、それを「証明」するために。
もしそこに手心が加われば、この場を設けた意味がなくなってしまう。何より、それ以上に相手に対する無礼もない。
だから彼らは、寸分の加減もなくぶつかり合うのだ。
「……」
それに深く理解を示す金剛に対して、比叡の表情は優れない。それでも彼女には、ただ祈るしか術はなかった。
指を絡め、目を伏せて。南雲サダトの生還を、祈るしか。
――それから、7分が経過した。
ついに試練終了まで残り1分となり、ギャラリーも比叡達も固唾を飲んで、戦いの行方を見つめている。
その視線の向こうで、サダトは満身創痍になりながらも両の足で立ち続けていた。すでに外骨格には亀裂が走っており、素顔を隠す仮面も半壊し、目元が覗いている状態である。
そんな彼を見下ろす赤城と加賀も、彼の異様なタフネスに手を焼いているのか。僅かに呼吸を乱しながら、次の矢を構えていた。
「……次が最後ですね」
「……ええ。行きますよ、赤城さん」
自分達二人にここまで食い下がってきた、彼への敬意として。赤城と加賀は、全ての艦載機を解き放つ。
九九艦爆、九七艦攻、零戦。三種の機体から繰り出す波状攻撃が、サダトを急襲した。
「――おぉおぉおおッ!」
もう、持たないかも知れない。それでも彼は、立ち尽くすことだけはしなかった。諦める選択肢だけは、選ばなかった。
その「心」を、彼女達は何よりも検証しているのだから。
爆煙の中に姿を隠し、九九艦爆からの爆撃をかわし切り――煙の外へと飛び出す。
その瞬間、彼は。
水飛沫が天を衝くほどの蹴りを海面に放ち、上空に飛び上がるのだった。
「……!?」
その行動に赤城と加賀が目を剥く瞬間。サダトは剣を振るい、機銃掃射に入ろうとしていた零戦を次々と斬り伏せる。
彼が立っていた海面にはこの時、空振りに終わった魚雷の航跡が走っていた。
爆撃も雷撃も銃撃もかわされては、もう一航戦でも決定打は与えられないだろう。誰もがそう確信している中、サダトは魚雷が通り過ぎた後の海面に着水した。
――だが、まだ終わりではない。一度のジャンプだけで全ての零戦を狩ったわけではないのだ。
着水したところを狙うように、残りの零戦が
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