第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第12話 信頼の条件
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時間を積み重ねて信頼を築いて行く猶予はない。そうでしょう?』
『そ、れは……』
『ならばせめて。私達が命を預けても構わない、と思えるほどの覚悟と強さを証明しなさい』
『……!?』
一方。加賀は物々しい雰囲気を全身に纏わせながら、サダトに一つの条件を提示する。
『この鎮守府の名代として、提督に代わり。私達一航戦が、あなたに試練を課す。その結果を以て、判断させて頂くわ。あなたが、私達の力を貸すに値するか否かを』
『……!』
それは、何よりもシンプルで過酷な条件だった。鎮守府の主力である一航戦の主観で、サダトの能力を検証し、艦娘の力を貸し与えるか否かを審議する。
つまり、鎮守府最強の彼女達を「力」を以て黙らせることで、艦娘を無駄に死なせない強さを証明しろ、ということであった。
無駄な血を流させない、という言葉が口先だけではないことを知らしめるために。
相手は一航戦筆頭格。まず、一筋縄では行かないだろう。サダトはチラリと、自分を見遣る金剛と目を合わせた。
(お膳立てはここまでネ。あとは、君のガッツ次第デース!)
(……ああ。ありがとう、金剛さん)
そこから帰って来たウィンクから、サダトは彼女の意を汲み、強く頷いて見せる。そして、真摯な眼差しを真っ向から加賀にぶつけた。
『……わかりました! その試練、受けて立ちます! あなたの信頼を、勝ち取るために!』
『おぉーっとぉお! まさかまさかの急展開! 南雲サダト君と加賀さんとの、ガチンコバトルの開幕だぁあーっ!』
やがてこの一帯に感嘆の声が広がり、どよめきは最高潮に達して行く。
その喧騒のさなか。加賀はフン、と鼻を鳴らし、踵を返して立ち去って行った。その後に続く赤城は、たおやかな笑みをサダトに送っている。
(……ど、どうし、よう……)
一方。
その光景を見ているしかなかった比叡は、予想だにしなかった展開に青ざめていた……。
◆
艦娘寮前で繰り広げられた、派手なマイクパフォーマンスからの宣戦布告。そして、試練の受諾。
その一連の騒ぎを、窓から見下ろしていた長門は深くため息をついていた。そんな彼女の隣で、陸奥がくすくすと笑っている。
「やれやれ……結局こうなるか。一航戦には面倒を掛けてしまったな」
「加賀も赤城も面倒見がいいものね。後で山盛りの牛丼でも奢ってあげたら?」
「そうだな、検討しておく。――それで、解析の進捗はどうなっている?」
「もうすぐ終わるそうよ。成果は期待できそうね」
「そうか。……解析が終わり次第、私から提督に報告する。それから、夕張に預けたマシンアペリティファーはどうだ?」
「車体の損傷が酷すぎて、バイクとして修理するのは不可能だそうよ。ただ、エンジン部の原子炉プルトニ
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