第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第10話 艦娘と仮面ライダーのファーストコンタクト
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の生物、浜辺に……!」
「地上での活動も可能ということデスか……?」
やがて海岸線の砂浜が見え始めた頃。
三体の深海棲艦を沈めた謎の生物は、獲物の骸を足場に再びジャンプすると、浜辺の上にすたりと着地した。
その光景から対象の活動範囲を推し量る二人の頬を、冷や汗が伝う。
もし彼の者の攻撃対象が地上の民間人に移れば、地上で有効に戦えない自分達にそれを止める術はない。よしんばそれが出来たとしても、戦艦たる自分達の武装では確実に民間人を巻き込んでしまう。
提督に深い愛情を寄せる金剛としては、彼が不在である時に不祥事を起こしてしまうことは何としても避けたかった。それは彼女に限らず、提督を慕う艦娘達の誰もが思うところなのだが。
「……とにかく、限界ギリギリまで接近するネ。周囲の影響を最小限に抑えるためにも、『絶対に外さない間合い』が必要デス」
「……わかりました」
敬愛する姉の強い決意を背中越しに感じ取り、比叡も厳かに頷く。彼女達は滑るように海岸線に近づき――やがて、浜辺の上に辿り着くのだった。
そして金剛と比叡は、三体の深海棲艦を沈めた戦士と対面することになる。
「あれが、昨日川内達が見つけたっていう……?」
「巨大飛蝗とは……随分受ける印象が違いますね。複眼くらいにしか共通点を見出せません」
だが。その風貌は、写真で見た巨大飛蝗とは掛け離れたイメージを金剛達に与えている。
黒塗りの外骨格。その全身を伝う真紅のエネルギーライン。金色の複眼に、一振りの剣。
巨大飛蝗のような生物感が伺えない、機械的な容姿。人型であるという点といい、川内達の報告から予想されたビジュアルとはまるで噛み合わない。
――しかし、全くの無関係ではないのだろう。見た目も形状もサイズも巨大飛蝗とは大きく異なるものの、飛蝗を彷彿させる複眼という意匠は共通している。
さらに、イ級とロ級を一瞬で斬り伏せる戦闘力。間違いなく、只者ではない。
「まさか、三体目の未確認生命体……!?」
「あの剣で鮫のような歯型は残せないハズ。その可能性が高そうネー……!」
金剛と比叡は警戒心を露わに、35.6センチ連装砲を展開する。そんな彼女達を――異世界から紛れ込んだ異物は、金色の複眼で静かに見つめていた。
(……なんなんだ、この世界は。建物は古めかしい昭和の東京みたいだし、変な化け物は海岸に沸くし、武装した女の子が海の上を走ってるし……。まさか、彼女達も機械系統の改造人間なのか……?)
先ほど斬り伏せた鯨のような怪物は、あからさまに人間を襲っていたが……自分に警戒している二人の少女は、敵意は見せつつも一方的に襲いかかる気配はない。
……望みは薄いが、単純なコミュニケーションなら取れるかも知れない
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