第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第8話 蒼い光
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。仮面ライダーの捨て身の特攻は、自分達の命運も握っているのだ。
「――だぁあぁあぁあぁあッ!」
そして。炸裂する閃光と共に、紅い弾丸となったマシンアペリティファーが巨大怪人の下顎に激突する。
激しい激突音と衝撃波が、そこを中心に広がりヘリ部隊や231便の機体を揺らす。誰もが、命を繋ぐための姿勢制御に必死だった。
そこで命を燃やし尽くしたかのように、APとマシンアペリティファーはそこから海中に墜落していった。
「駄目、だったの……!? 今の、一発でも……」
「いや――見ろ!」
海中に没してゆく仮面ライダーの姿に、射撃手は息を飲む。一方、操縦士は過酷な状況でも機体を制御しながら、事態を正確に見据えていた。
スワリング・ライダーブレイク。その自己犠牲に等しい特攻を浴びた巨大怪人は、自らの巨体を揺らめかせている。
半開きになった顎の隙間から、くぐもった呻き声を上げて。
「効いた……!」
「例え身体が巨大であろうと、人型である以上は急所も人体に共通している……ということか」
顎の衝撃から脳を揺らされ、巨大怪人は上体を大きく仰け反らせている。――だが、そのふらつきはそれだけが原因ではないようだった。
「そうか――自重か」
「え?」
「あの鎧。奴自身にとっても過ぎた重さだったらしい。だからあんなにぐらついているんだ」
上体にだけ纏われた分厚いプロテクターに対し、それを支える下半身や手足はあまりにも細い。そのため、平衡感覚を狂わされると容易く体勢が崩れてしまうのだろう。
今にも倒れてしまいそうなほど、巨大怪人の体幹は揺らいでいる。
「だが……攻撃はここまでだな。仮面ライダーが墜ちた今、これ以上の追撃も不可能だ。今のうちに231便を中部国際空港まで護送する」
「仮面ライダーは……見捨てるのね?」
「ここで退かねば、全ての命が無駄になる。彼が作ってくれた時間を、浪費するわけにもいかない」
「……」
「……言いたいことは分かっている。その責めは甘んじて受けよう。ただし、それはここから生き延びてからだ」
だが、これ以上巨大怪人を攻める術がない今、自衛隊は隙を見て退避するしかない。例え、自分達を助けてくれた仮面ライダーを見殺しにするとしても。
さもなくば、罪のない民間人からさらなる犠牲者が出るのだ。
『攻撃中止! 全機撤退ッ!』
彼女達を含むヘリ部隊の全機が、後ろ髪を引かれるような思いを抱えて――旋回していく。この戦地に身を投じている彼らにとって、巨大怪人に果敢に立ち向かった仮面ライダーは、かけがえのない同胞も同然であった。
それでも今は、逃げるしかない。彼が身を呈して救った命を、繋ぐために。
「……ッ!?」
その時だった。
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