第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第8話 蒼い光
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すがね」
「彼には悪いが、手負いの身であのデカブツを狩れるとも思えん。……自爆するのが関の山だぞ、ライダー」
すると――射撃手の目に、仮面ライダーAPの姿が留まる。傷を負った身でありながら、怯む気配も見せず巨大怪人目掛けて猛進する光景を、操縦士は案じるように見つめていた。
(……まさか、あそこまで進化してるなんて……!)
一方。すでに巨大怪人が視界全体を埋め尽くすまで接近していたAPは、水害の影響で崩れ行くビルの瓦礫をかわしながら、ワインボトルをベルトから引き抜いていた。
同時に、ハンドル中央にボトルを装填するホルダーが現れる。そこに手にしたボトルが差し込まれ――マシンアペリティファーのボディが、紅い電光を帯びた。
(刺し違えてでも……ここで、止めるッ!)
連戦と負傷により、もはやAPのボディは戦闘不能寸前に至るまで傷ついている。その状態で必殺の一撃を放つなど、自爆に等しい。
だが、サダトはそれでもやらざるを得ないのだ。すでに犠牲者が2000人を越え、東京の一部まで破壊された今、刺し違えてでも迅速に巨大怪人を倒さねば日本に未来はない。
仮面ライダーGから日本の守りを託された以上、ここで傷を理由に引き下がることはできないのである。
迸る殺気と、マシンアペリティファーに蓄積されていくエネルギーに気づいてか。
巨大怪人の紅い複眼が暗闇に揺らめき――サダトの姿を捉える。
30mm機関砲を浴びても微動だにしなかった、この巨体が初めて明確に「敵」を認識した瞬間だった。
マシンアペリティファーに宿る電光のエネルギーと、サダト自身が放つ殺気が、同じ改造人間にしかわからない「力」の奔流を感じさせたのである。
「これでッ――最後だ!」
もはや不意打ちは望めない。しかし、攻撃を中断して姿を消している暇はない。ここで目標がサダトから外れれば、巨大怪人の矛先は間違いなく自衛隊のヘリ部隊と――231便に向かう。
それだけは、是が非でも許すわけにはいかない。例え、相討ちになるとしても。
その決意を、血みどろの胸に抱いて。彼を乗せたマシンアペリティファーが瓦礫を乗り上げ、闇の空へと舞い上がる。
『FINISHER! EVIL AND JUSTICE OF MARRIAGE!』
「スワリングッ……ライダァアッ、ブレェイクッ!」
刹那。
紅い電光を纏うバイクは、ライフル弾のごとく螺旋状に回転し――眩い輝きを放つ、一条の光の矢となった。
地から天へ駆け上る、真紅の彗星。その輝きは暗黒を裂くように、地獄絵図と化した東京の街を横切り――巨大怪人の顔面に肉迫する。
「飛び込んだ!?」
「どうなる……!?」
その閃きを目撃する射撃手と操縦士は、揃って息を飲む
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