第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第8話 蒼い光
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「なんか、ビルでも掴んで投げて来そうな感じ……」
「同感だ、一旦離れて様子を見るぞ。いつ許可が降りても撃てるよう、照準は外すなよ」
「わかってるわ、任せて」
本能的な恐怖を訴える、異様な巨大怪人の変貌。その手の内が見えない以上、迂闊に近寄ることもできない。
操縦士は操縦桿を握り、機体を横へと滑らせて行く。彼女達を除く他のヘリ部隊も、同様に巨大怪人から距離を取って行った。
『官邸より通達。国民に危険が及ばない角度からの射撃を、許可する。各機、指定する位置に移動せよ』
「了解」
そして――指揮所からの命に応じ、231便を背にするように陣形を組み、射撃体制に突入した。都市部と並行になるポジションであり、これなら231便にも都市にも誤射することは万一にもあり得ない。
「指定位置に集結完了。射撃準備よし!」
『目標、正体不明の巨大生物。射撃用意……撃て』
「射撃用意、撃てッ!」
いかに誤射や誤爆の前例があろうとも、今迫っている危機を見逃すわけにはいかない。官邸閣僚も自衛官も、誰もが覚悟を決め――ついに射撃命令を下す。
その覚悟に報いるが如く。ヘリ部隊に搭載された、全ての30mm機関砲が火を吹いた。
水平に飛ぶ豪雨さながらに、巨大怪人の頭部に降り注ぐ弾丸の嵐。怪人の肉も骨も抉り取らんと、一切の容赦を捨てた掃射だった。
……だが。
「30mm機関砲、全弾命中。……しかし対象への損傷、確認できず」
「蚊が刺した程度にも、感じていないな……!」
轟音と硝煙が渦巻く掃射を、一身に浴びて。巨大怪人は傷一つ負わないばかりか、撃たれたことすら認識していないかの如く、微動だにしない。
対人兵器をものともしないシェード製改造人間との戦いでも、この30mm機関砲の掃射なら怯ませることはできた。だが、この巨大怪人にはまるで通じていない。
「鉛玉なんて効かないってことね……。でも、誘導弾なら……」
「……爆発の余波で231便が体勢を崩す可能性がある。総理は、許可できないだろうな。あちらも燃料ギリギリの瀬戸際だ」
「……辛いわね、これは」
まだ自衛隊には、ミサイル攻撃の手がある。しかし、それを実行するには状況が悪過ぎた。
確かに機関砲とは比にならない火力であるが、シェードの改造人間を相手にそこまでの兵器を投入した前例はない。その点だけでも議論に時間を奪われかねない上、ミサイル攻撃の影響が231便にまで及ぶ可能性も考慮せねばならなくなる。
今すぐ使われるべき時に使えない手段を、当てにすることはできない。30mm機関砲が陽動にすらならない時点で、自衛隊が今すぐ打てる手はないに等しかった。
「……見て、仮面ライダーが接近してる。あんなに巨大になっても怯みもしないのは、さ
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