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仮面ライダーAP
第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第8話 蒼い光
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と比べてかなり緩慢である。

(……あの進路方向から察するに、中部国際空港を目指しているな。確かに成田も使えない今、最寄りの空港はそこしかない。だが、そこまで行くにはかなりの距離がある。果たしてそれまで、燃料が持つかどうか……くそッ)

 速度のなさは、燃料を少しでも長く持たせるために出力を落としたことに起因している。それ自体は懸命な判断ではあるが、そのために巨大飛蝗から素早く離脱できずにいた。
 そのジレンマを抱えた231便を見遣るヘリパイロット達は、焦燥感を募らせ唇を噛み締める。

 ――すると、次の瞬間。

「……ッ!? き、霧が晴れるわ!」
「なっ……なんだ、あれは……!?」

 巨大飛蝗を包んでいた霧が、徐々に闇の中へと滲んで、消えていく。そのベールの向こうには、巨大飛蝗――だった「何か」の、変わり果てた姿が丸裸にされていた。
















 かつて、地を這う飛蝗の形をしていた「何か」は。

 ターミナル屋上に、両の足で立ち上がっていたのである。
















「冗、談でしょ……」
「……昼頃に奥多摩町に現れた怪人も、飛蝗のような姿だったと警視庁から報告を受けている。恐らくはその個体が、食人を経て変態したのがあの巨大飛蝗なのだろうが……さらに次の段階があったとは……」
「さしずめ、第3形態ってとこね……」
「……願わくばあれが、最終形態であって欲しいな」

 二足歩行の体勢に入った巨大飛蝗――ならぬ巨大怪人は、飛蝗の意匠を色濃く残しつつも人間に近しい体型へと変貌していた。
 さらに体長もかなり変化しており、50メートルにも及ぶ巨体と化している。
 新緑のボディと紅い複眼はそのまま。それに加え今度は、上体の胸や肩に深緑のプロテクターが備え付けられている。

「あの鎧、異様に重たそうね」
「それだけあの部位を厳重に守らねばならないのだろうな。なにせ心臓部だ」
「……そりゃあ心臓が大事なのは当たり前だけど。どうも、それだけじゃない気もする」
「というと?」
「――あの鎧の下に、『何か』があるのよ。心臓以外にも、何としても守らなきゃならない『何か』がね」

 プロテクターはカブト虫の甲殻のような光沢を放つ、生体鎧のようであるが。その硬度が並大抵のものではない――ということは、その分厚さから容易に窺い知れた。
 さらに厚いプロテクターに守られた上半身は、下半身と比べて異様に肥大化しており、細い手足と比べて不安定なシルエットになっている。

 今まで以上に、人類への攻撃性と不気味さを強調したフォルムとなっていた。それを間近で見ている二人のパイロットも、冷静さを保ちつつも冷や汗を止められずにいる。
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