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仮面ライダーAP
第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第7話 広がる災厄
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アラサー入りよ!」
「……頭に来ました。私も告白なら何度もされている。浴塗れの男に興味がないというだけよ。あなたなら簡単に引っかかりそうだけれど」
「んなっ、なんですってぇ〜!」

 その間に二人の口論は続いていた。これ以上(主にエースの方が)ヒートアップすると他の乗客にも迷惑になりかねない。見兼ねた部員達が、宥めようと席から立つ――その時だった。

「――だから彼氏が出来たら、私のところまで連れて来なさい。あなたに見合う男かどうか、審査してあげる」
「え……?」
「部のエースが悪い男に騙されて活動を疎かにされるようになったら、部員全体の士気に関わるもの」

 突然声色を穏やかな色に変え、煽るような口調から諭すような口調に切り替えた部長の貌に、エースは戸惑ったような表情で口ごもる。優しげな心遣いを包み隠さない、という何より強烈な不意打ちに攻勢を封じられたようだ。

「……なんか、ズルいよ。先輩」
「何が狡いのかしら」

 本当は優しいくせに、それを全く態度に出さず厳しい顔しか見せない。だからこちらも、それをわかっていても反発してしまう。
 そうやって反抗している最中に、いきなりストレートな気遣いを言葉にされたりしたら、どうしたらいいかわからなくなってしまう。

 ――そうして、いいように振り回されていることが何より気に食わない。本当に、嫌な先輩だ。

「……ばか」
「なにが馬鹿なのかしら?」
「独り言ですっ」

 そんな胸中が、態度に滲み出たのか。エースは緑色のツインテールをふわりと靡かせ、すとんと席に座り込む。いつまでも素直じゃない後輩の、そんな姿を物静かな部長はじっと見つめていた。
 彼女達の遣り取りが穏やかなものになる光景を見遣り、部員達は互いに顔を見合わせると、ふわりと微笑を浮かべて引き下がって行く。お邪魔虫にはなるまい、という彼女達なりの心遣いであった。

 ――きっと空港に着いて解散する頃には、二人の距離も縮まっていることだろう。後ろから彼女達を見守っていた部員の誰もが、そんな展望を夢想していた。















 ――が。

 機内に突如訪れた不自然な揺れが、そのイメージを吹き飛ばす。いきなり発生した異常事態に、女子弓道部のみならず乗客全てが目を剥いた。

『乗客の皆様にお知らせします。只今、羽田空港にて発生した非常事態を受け、本機の着陸先を中部国際空港に変更することとなりました。乗客の皆様には大変ご迷惑を――』
「着陸先を変更って……どういうこと!?」
「なに? なんなの? わたしたち、帰れるんじゃないの?」
「おい、どういうことなんだ! 説明しろ!」
「お客様、落ち着いてください!」

 次いで、機内に緊迫した声色のアナウ
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