第190話 戦端を開く
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うだった。箝口令がしかれているが既に正宗の使者・橋瑁が惨殺されたこと、その事実が反董卓連合軍に伝わっていることも知っていた。
この状況で反董卓連合軍と干戈を交えれば、董卓軍から離反したい禁軍兵士達も巻き添えにあうことは目に見えていた。そして、禁軍の部隊長である彼女達はこのままでは反逆の罪を追求される恐れがあった。
「そう難しいことではない。董卓の屋敷に放火して欲しい」
真悠は口角を上げ校尉達に言った。
「そんな真似をすれば私達は皆殺しにされます」
校尉達は怖じ気づいていた。真悠の掲示した条件を飲む気持ちはないようだ。
「戦後、御身がどうなっても良いのですか? 義兄上は荊州で反逆者を根切りにした。その災禍を貴殿達は味わうことになりますぞ。義兄上は土壇場での裏切りは許さないです。裏切るならば、義兄上が都を攻める前でなければならない。私は貴殿達が朝廷のために働いたことを義兄上に伝えることができる」
真悠は神妙な顔で校尉達に条件を飲むように迫った。
「別に今直ぐに放火しろとは言いません。使者・橋東郡太守は董仲穎に殺害された。これを義兄上が黙っているはずがありません。明日になれば都は火の海に包まれるでしょう。そこで裏切って、義兄上が貴殿等を許すと思われるか」
真悠は校尉達にすごんだ。校尉達は真悠の態度にたじろいだ。彼女達は悩みはじめた。正宗が差し向けた使者を惨殺した董卓に大義はない。そして、正宗率いる反董卓連合軍の大軍に禁軍内にも動揺が走っていた。このままでは董卓軍が反董卓連合軍と満足に対峙できる可能性は限り無くゼロに近い。
「私達が董仲穎の屋敷に放火させる理由をお聞かせいただきたい」
校尉達の中で一番の年長そうな緑髪の校尉が真悠に尋ねた。
「董仲穎の屋敷には先帝である弘農王が居られる。弘農王をお救いするために屋敷に火を放ち混乱を誘うのだ。それを利用して私は弘農王を助け出す」
校尉達は表情を変え唾を飲み込んだ。先帝は現皇帝の兄である。その人物を救い出せば大きい功績となる。
「首尾良く成功した暁には」
「奸賊から先帝を救い出した功績は大きい。皇帝陛下の忠臣たる兄上は貴殿達を高く評価なされるはずだ。一郡の太守の椅子くらい容易く手に入ることだろう」
校尉達は喜色の声を上げた。彼らを見る真悠の目は一瞬鋭くなったが、直ぐに笑みに変わった。
「分かりました。私達は準備を整えます。しかし、火付けを行った後、私達は都に居る場所がなくなる。どこに逃げればいいのです」
「私の知り合いに頼んで貴殿達を匿うように頼みましょう」
「それはかたじけない。その方の名を教えてくださいますか?」
校尉達は真悠の申出を快く受け入れた。彼女達は董卓の屋敷に放火する自分の部下達の身は一切
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