『Maternal affection』
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いっつも真っ暗で、其の中に光るものは涙くらいで、孤独が当然なんだと思ってた。
たったひとつ望んだものが、例えば親で在る事を当然だとする親だとしても、其れは叶わないと悟ってた。
腹の底から唸るような叫びを、咽を切り裂かれたような呻きを、毎夜毎夜躰中に溜め込んだ。
いつしか其れが醜い般若へと形成されてった。
いっそ躰ごと心ごと、総てを委ねてみようか。
此の躰なんて何の価値もないって知ってるから。
命すら何の価値もないって解ったから。
銃で狙い定める先、其処には大きい背中をしたひと。
私を産み堕としたくせに、何も義務を果たさない人。
命乞いしてみろ。
なんなら総てに対して謝罪してみろ。
悪いなんて感情、欠片も無いから無理だろうけど。
必要とされたかった。
邪魔にされたくなかった。
可愛い可愛いって頭を撫でて欲しかった。
届きもしない願い。
母親と子供の間に無償の愛など存在しない。
そんなものが在るなんて言った奴は誰だ。
こんなんなら産んで欲しくなかった。
どうせなら殺して欲しかった。
私にとっての母性愛なんてのは幻想でしか無かった。
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