9. 夜の密会の真相 〜電〜
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「……」
「キャッキャッ……」
私たちが覗く覗き穴のその向こう側では、集積地さんと子鬼さんたちが静かにゲームを楽しんでいた。
「司令官さん、中々来ないのです……」
「まぁ司令官はいつも夜遅くまで色々とお仕事してますからねー。青葉たちは素直に大淀さんからの連絡を待ちましょう」
私と青葉さんは今、二人で資材貯蔵庫の天井裏にいる。そこで足元に開けられた覗き穴を覗きながら、司令官さんが資材貯蔵庫を訪れるのを今か今かと待ちわびていた。
大淀さんと別れた後、私はそのまま演習場に赴き、そこで赤城さんにしごかれて疲れきっていた青葉さんに事の次第を説明した。
「青葉さん、電たちに力を貸して欲しいのです」
「ぜはー……ぜはー……す、すみません……青葉、今日はもう疲労困憊で……恐縮です……ぜはー……」
最初、青葉さんは疲れきっていて私のお願いを聞いてくれなかったのだが、
「今、このことを知っているのは、電と大淀さん、そして青葉さんだけなのです」
「……」
「電たちに協力してくれれば……ひょっとすると司令官さんと集積地さんのスキャンダルの決定的瞬間を捉えることが出来るかもしれないのです」
「……」
「栄誉ある誇り高き大日本帝国海軍鎮守府の司令官と、その敵である深海棲艦との間に芽生えた許されざる恋慕……そして渦巻く欲望……」
「……」
「これは、帝国海軍はおろか日本全土を揺るがす大事件……」
「……」
「……いや、ともすれば全世界を巻き込む一大スキャンダルになるかもしれないのです!」
「喜んで力を貸しましょう。キリッ」
と事の深刻さを若干大げさに説明してみたところ手のひらを返してOKしてくれた。よかった。青葉さんの助力が得られなければこの計画は頓挫してしまうところだった。
その後、夕食時に青葉さんと大淀さんの3人で作戦会議を行った。場所は大淀さんとお昼を食べた間宮さんの個室。つまり今日は、珍しく集積地さんと別々に晩ご飯を食べたことになる。
「集積地さん、今日は電は一緒に晩ご飯を食べることは出来ないのです」
「そうか……残念だ……」
集積地さんに一緒に食べられないことを伝えた時、彼女はとてもさみしそうにぽつりとそう言っていた。なんだか雨の日に見つけた、段ボール箱の中で震えている捨てられた子犬のように見えて……
『……ウソなのです! やっぱり電は集積地さんと一緒に晩ご飯を食べるのです!!』
『やったー! 一緒にイナズマと晩ご飯を食べられるんだな! ありがとうイナズマ!』
『大好きなのです! 集積地さん大好きなのです!!』
『私もだ! 私も大好きだイナズマ!!』
『集積地さん! 集積地さぁああああん!!』
『イナズマぁあ! イナズマぁああああん!!』
とつい心の
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