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テキはトモダチ
9. 夜の密会の真相 〜電〜
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ん。まだ集積地さんに動きはないですから」

 中々心の踏ん切りがつかない私に代わり、青葉さんが二人の様子をものすごくざっくりと教えてくれる。青葉さんなりの気遣いなのだろうか。ものすごく曖昧な説明のおかげで、二人のイメージが曖昧になってくれる。

 覗き穴は覗けない私だが、二人の会話は聞こえている。肩に乗っている子鬼さんの妙な声は少々邪魔だが……

『はいおまたせー。お茶請けは俺が買ってきた裂きイカだよー』
『お茶請けというよりツマミだろうそれは……悪いがアルコールなんて飲めないぞ私は』
『無理に飲ませたりしないよ……飲めない奴に飲ませても面白くないでしょう』
『そんなもんなのか?』
『そうよー』

 なるほど。司令官さんにはとりあえず、飲ませてぐでんぐでんになったところを無理矢理……という趣味はないようだ。ということはやはり……

「中々冷静に分析してますねぇ。司令官との将来のためですか?」
「青葉さんはあとで確実に轟沈させるのです」
「恐縮です。……あれ?」

 青葉さんが変な声をあげた。まさか夜戦が始まったのか……

「青葉さん?」
「あれ? ちょっと……湯呑みが……」

 青葉さんの様子がなんかおかしい。気になる……

「どうかしたのです?」
「いや、あの……」

 一向に説明しようとしない青葉さんに業を煮やした私は、おっかなびっくり薄目で覗き穴を覗き込んでみた。覗き込む時に肩の子鬼さんが『キヤァアア』と悲鳴を上げながらコロンと肩から転げ落ちていたが気にしない。

「あれ?」
「電さんも気づきました?」
「湯呑みの数が……多いのです?」
「ですよねぇ?」

 司令官が準備して持ってきたお茶が入った湯呑みは、司令官さんと集積地さんの分の2つあれば事足りるはずだ。にも関わらず、そこには5つの湯呑みが準備されている。

「まさか……司令官さんは……」

 過去の事件と照らし合わせ、私がその理由を思いついたときだった。

『それにしても湯呑みが多いな。2つあればいいだろうになぜ5つ?』
『そういうわけにはいかんのよ。お客さんは俺以外にもいるわけだし』
『お前以外?』

 集積地さんからの疑問にそう返答した司令官は、上を見上げて……いや正確には、自身の頭上から司令官さんたちを観察している、私と青葉さんたちの方に顔を向けた。

『なあ青葉?』
「ギクゥウッ!?」
『電も』
「ドキィイイッ!?」

 瞬間、私の心臓が震えて縮こまった。まさかずっとバレていた!? そ、そんなはずは……

「あ、青葉さん、どうするのです!?」
「あ、青葉もどうすればいいのやら……!?」
「おまたせしました。OH! YODO、合流……しまし……た?」

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