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赤翔玄-剣を握りし果てに-
第2話 雛罌粟-運命の輪-
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分からない……一体、何が言いたいんだ?」
「その指輪を身に着ける事で何時かは貴方が私に求める“答え”を見つける事が出来ます。残念ながら私の口から貴方に“真実”を伝えた所で、幼い貴方には、きっと、理解する事も出来なければ私の元から去って行くでしょうね。まぁ、――と、言っても貴方の耳には私の話す“”真実は、今の貴方に遮られて聞こえない筈ですから」
「今の……俺?」
「あら、失言でしたね……これで……忘れて下さいね、翔玄さん」
「う、む……」

 激しい頭痛でふらふらの中でも解る――俺、街一番の美人給仕だと噂されている雛罌粟さんと、今日、初めて出会ったのに……向こうは俺の事知っている様だったけど、俺、今、店の前で雛罌粟さんと口付けしている。
 夢でも見ているのか……俺……。

 そんな中……店の出入り口の扉を開けて出て来る同僚の兵士達の声。

「いや〜、女将さんも酷いよな〜。俺達の過去を翔玄の前で大暴露するんだからさぁ〜」
「雛ちゃんも翔玄の近くに行っちゃったしさぁ〜……相手が翔玄なら仕方がないと言えば、仕方がねぇんだがなぁ〜……納得が出来るが納得できねぇ」
「……ひ、雛ちゃん」
「う、嘘だ、嘘だと言ってよ……雛ちゃ〜ん!」

 近くにいる筈なのに遠くに聞こえる同僚の兵士達の叫び声。

「……ん……心配しないで下さい。私は昔も今も貴方だけを愛しています。またの来店、お待ちしております、翔玄さん」
「……………………はい」

 俺は女性にとことん弱い様だ……突然、口付けされた事で雛罌粟さんに何を言われたのか、もう、すっかりと忘れてしまった。もしかして、雛罌粟さんの唇には妖術の類のものが……って、何を馬鹿な事を考えているんだ。
 雛罌粟さんが店の中に戻った後で、俺の目の前にいる殺気を放つ悪鬼達から一目散に逃げた。

 悪鬼達から逃げる道中、ふと雛罌粟さんの事を思い出した。
 俺を見る、雛罌粟さんの青い瞳はとても儚げだったと…………俺、本当に……雛罌粟さんと何時、何処で出会ったんだろうか?
 この左手の人差し指にはめ込まれた銀の指輪が、俺が雛罌粟さんに求める“答え”へと導いてくれるのか?
 分からない……分からない事だらけだ……雛罌粟さん……。

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