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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#19
MILLENNIUM QUEENV 〜Last Judgement〜
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外、核爆弾でも殺せない。
 更に “肉の芽” の機能を 「暴走」 させソレを対象に組み込めば、
四肢を轢き断たれても生き続けるというのは他の人間や徒で実験済みだ。
『及第ですね。私の焔儀には劣りますが、多くは望まない事にしましょう。
参ります、 “千年妃” 』
「……」
 気配を殆ど発さず、アーサーの眼下に赤子を抱いた女神の姿が在った。
 十全の状態ならば、自らと渡り合えるほどの強大な力の潜在を
遥か遠方の地からでも如実に感じる事が出来る。
 多少の甘さはあれど先刻からの美事な闘い振りから、
彼女に対する敬意とソレを屠る事を惜しいと想わないではなかったが、
ヘカテーは冷然と剛刃を引きその驚天の切っ先をエリザベスに差し向けた。
「先程までの者ではないですね。
“誰” ですか? アナタは?
戦いを挑むのなら、名ぐらい名乗ったらどうです?」
『――ッ!』
 声は聞こえていない筈なのに、少ない情報と絶望的な状況で自らの存在を
正鵠に明察したエリザベスの知性に、ヘカテーは小さく息を呑んだ。
「ソレが、話に聞くDIOの “肉の芽”
植え付けた者を自由に操り奴隷に出来るというのは本当のようですね。
その者に最早戦意はありません。
“そんな者すら操って” 自らは安全な場所で高見の見物ですか?
やれやれ、狭量極まりない事ですわね」
『……』 
 遙か遠方に位置する少女の瞳が、微かに鋭さを増した。
 戦闘に於ける心構えは千差万別、故に議論しても意味がないしその気もないのだが、
自らが行使する能力(チカラ)を侮辱されるのは “その方” を侮蔑されたように
彼女には感じられた。
「あ……が……ぐぅ……」
 双眸の冷たさを増した少女に届く、耳障りな声。
 その心中を代弁するかのように、法紋の浮いた触手が拡散して
オルゴンの顔面に巻き付き呼吸を塞ぐ。
 最早意識は完全にエリザベスへと向いていて、
封縛するオルゴンには路傍の石ほどの関心も払っていなかった。
(だ……だれ……か……たす……)
 心中で漏れる嘆きすらも、断続的に身を劈く苦悶に呑み込まれた。
 自業自得。自縄自縛。
 世界のスベテから見捨てられた存在。
 他の者であるなら、きっと誰もが彼をこう弾劾したであろう。
 そう言ってきた者に、否、 “言えもしなかった者に”
貴様は一体何をしたのだ? と。
 それだけ多くの血が、罪無き生命が、紅世の徒(オルゴン)の為に流された。
 譬えどれだけ哭き叫び、跪き赦しを乞おうとも、
『神』 は彼から眼を背ける。
 しかし。
「苦しいの?」
(――ッ!?)
 決して誰にも届かない筈の声に、気づいた者がいた。
 漏れる炎で緑青色に染まった視線の先、
赤子を抱いた一人の女が自分を見つめている。

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