邂逅
大元帥の奪還
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官は不覚にも硬直。
不意を突かれ思考停止状態に陥り、慌しく風雲児の思念を走査《スキャン》。
潜在意識を覗き記憶を辿る白魔道の秘法、精神測定《サイコメトリ》の術を駆使。
法螺話を好む元海賊の得意とする口から出た出鱈目、嘘か真か不明の噂話を誇張した類か精査。
ヴァレリウスの思念波が普段は滅多に見せぬ驚愕、興奮の感情に彩られ魂の主に殺到。
アルド・ナリスの面に奇妙な表情が浮かび、ゆっくりと振り返った。
取り繕った動作を裏切り、瞳の輝きが内心の興奮を伝える。
魔戦士は動物的な独特の勘を働かせ、ナリスの興味を掻き立てたと察知。
災厄の運び手は得意満面でニヤリと笑い、主導権を譲った運命共同体の瞳を覗き込む。
「今回は嘘偽り無く心の底から言うが本当に、そなたには驚かされるね。
スカールと戦った後、暫く姿を隠していた様だが。
運命の再会を果たした場所、マルガに情報収集の網を張って置いたのかな?
それとも新生ゴーラ軍の指揮を副官に委ね、単身リリア湖まで偵察に来ていたのだろうか?
ヴァラキア出身で元海の兄弟となれば当然、遠泳の術には練達しているだろうけれど。
魔道師達が協力して厳重に結界を張っていた筈だが、一体どうやって島に潜入し得たのか?
どんな推理をすれば謎が解けるのか、皆目見当が付かないね。
私の頭脳を以てしても御手上げと言わざるを得ない、降参だよ、イシュトヴァーン」
無邪気な子供の様に粗野ではあるが端正な顔が綻び、得意気な表情が浮上。
陽気な紅の傭兵、ヴァラキアのイシュトヴァーンを偲ばせる面影が過った。
「リリア湖じゃねぇ、レントの海で見たんだ。
名前も無ぇ、無人島の近くでさ。
俺とグイン、リンダとレムスの4人で海賊船に乗り組んでたんだが。
そう云やぁ、セムの猿娘も一緒だったっけかな。
黒竜戦役の最中、パロがモンゴールに占領されてた頃の話さ。
嵐の夜、グインが海ん中に落ちちまったんだ。
俺も危機一髪だったんだが強運の賜物、落雷に救けられて窮地を脱したんだが。
そん時に海の中から出て来やがったんだよ、光の船ってのがさ」
ナリスも普段は滅多に見せぬ興味深々の表情を見せ、夢中で聞き入る。
ヴァレリウスも不本意ながら惹き付けられ、耳を澄ませ拝聴する事となった。
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