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豹頭王異伝
邂逅
大元帥の奪還
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する。

(カロン大導師は竜王の影響が懸念される、マルガを拠点とするのは避けろと言ったね。
 グインから古代機械に命令して、サラミスに自力で移動して貰おう。
 ファーンを運び魔の胞子に冒された細胞の再生を試みる為、遊撃班を派遣せよ)
 ヴァレリウスの懸念を聞き流し、アルド・ナリスは涼しい顔で遠隔心話に応えた。
 ロルカ、ディランに匹敵する上級魔道師アイラス指揮の班は緊急事態用に待機していたが。
 グインの奪還した第3王位継承権者、ベック公ファーンを護送する為に姿を消した。

 ナリスの身体は回復途上にあり、体調も安定しているが騎乗は無理で馬車に乗り行軍に同行。
 ウー・リー達は『パロの王子様は軟弱者だぜ、馬にも乗れねぇとよ!』と嘲笑するが。
 野心家達の芝居を真に受ける猪武者達は眼中に無く、ヴァレリウスも暴言を聞き流す。
 パロの策謀家達が歯牙にも掛けぬ新生ゴーラ軍の中で唯一、一目置かれる存在。
 裏の事情を多少は理解しているものの、律儀な海の兄弟マルコは黙して語らぬ。


「あんな弱いの居ても居なくても構わねぇ、俺が代わりに戦ってやるから心配なんざ要らねぇよ。
 レムスみてぇな馬鹿が国王百年早ぇんだよ、パロの王族なんざ何人居ても役に立つもんか!
 他の奴等なんざ要らねぇ、ナリス様1人で充分さ。
 取って代わろうなんて大それた事を思わねぇ様に、俺が全部まとめて片付けてやるぜ!」

「勘弁しておくれ、イシュトヴァーン!
 私と同じ感じ方を共有する世界で唯一の人物、私を理解してくれる運命の同志よ!!
 以前にも言ったが私はパロの国王になど、なりたくないのだよ!
 無理強いされたら愛する祖国を捨て、ゴーラへ逃亡しようと思っているのだがね!!」
 太陽の光を反射する水晶の鏡、光輝く湖水の如くに満面の笑顔を溢れさせる闇と炎の王子。
 絶品の殺し文句には逆らえず魔戦士、冷酷王と畏怖される不機嫌な若者の表情が緩んだ。

 思い切り、蹴飛ばしてしまいたい。
 ヴァレリウスは強烈な衝動に駆られ、強烈な念が迸った。
 五芒星の魔法陣を描く下級魔道師5名が思わず後退り、結界が乱れる。
 失態を悟った魔道師軍団の総指揮官は慌てて、沸騰する感情を鎮め精神を統一。
 魔道師としての序列では上位に位置する同僚、ロルカが微笑み念を強化。
 苦労人の魔道師は無念無想を念じ、悪戯の仕掛け人から瞳を逸らす。

「パロを護る《光の船》とやらが近頃、大層な評判を取ってるみてぇだけどよ。
 自慢じゃねぇが俺も見た事はあるぜ、とっくの昔から妙ちきりんなもんだと思ってたぜ」
 無法者の口から唐突に飛び出した放言、古代機械の代名詞として囁かれ一般に流布した表現。
 想定外の鍵言葉《キイ・ワード》を受け聖王家の夢想家、魔道師軍団の指揮
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