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フロンティアを駆け抜けて
逆鱗
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た。自分のバトルを、今までの経験をばっさり否定されたからだ。

「何もかも浅いんだ……君は。ポケモンバトルの実力も、信念も」
「……」

 ジェムは静かに涙を零した。もうここに来てから何度目の涙かわからないくらいだった。とっくに心は打ちのめされているのに、悲しさは止まってくれない。

「また泣く。……まあ好きにすればいいけど、ちゃんとバトルは見ててよね」

 自分のバトルを見ることを強調し、ダイバはバトルに戻る。そこからの展開はほとんど同じだった。初手に剣の舞を積み、逆鱗や地震で相手を一撃で沈めていく。混乱や相性などで仕留めきれなかった分は、メガガルーラの連続攻撃で相手に反撃を許さず潰していく。
 それはほとんど流れ作業に近かった。彼は全てのポケモンを知り尽くしているように、機械的に処理をしていく。その動きはジェムの心に密かにこの人にはとても敵わない、傷つけられたくないという気持ちを植え付けていく。何より、自分のポケモンを傷つけられた時のことを思い起こさせる。

「……はい、おしまい。一旦戻るよ、ジェム」

 勝負を終え、ダイバはジェムに手を伸ばす。ジェムはその手を取る気にはなれなかった。施設から出るダイバに無言でついていくジェムに、ダイバはフードの下でほくそ笑む。

「じゃあ、外では僕の代わりに戦ってもらうからね。約束通り――」
「……もう。やだ」
「……へえ?なんで?」

 ジェムはポツリと否定する。その声は震えていた。ブレーンに負けて、ポケモンを痛めつけられて、心を支配されかけて、施設のバーチャルに一回戦で負けて、自分のバトルを否定されて……また痛めつけられたことを思い出させられて。ジェムの心はぼろぼろだった、すっかり歪んでいた。それをダイバは、笑いをこらえながら問いただす。

「私なんかより、あなたの方がずっと強いじゃない……その辺の相手なんて、私がポケモンを戦わせなくてもあなたは簡単に蹴散らせるでしょう?」
「……まあね」
「だったら!だったら……貴方が私の代わりに戦ってよ……もう……傷つけられるの、いや……」
 
 簡単に認めるダイバに、約束を反故にする行為だとわかっていてもジェムはそう言わずにはいられなかった。ダイバはにやりと笑みを浮かべて言う。

「……いいけど、じゃあその代わり何かしてもらわないと割に合わないよね?それでも――」
「いい。いいから……もう、私を戦わせようとしないで」

 正直、出来ることなら今すぐ母のいるおくりび山に帰りたかった。だけどこんなみっともない姿を尊敬する母に見せたくないという思いもあった。だからジェムは、ダイバに庇護を乞う。乞ってしまう。

「わかった、それじゃあ……」

 この時ダイバにはジェムを自
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