神風と流星
Chapter2:龍の帰還
Data.31 本番の幕開け
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安全マージンを充分以上に取っている俺とシズクはともかく、クラインたちに致命的な被害が及ぶ可能性は少なくない。前線に出てダメージを稼いでもらう以上、彼らの安全は絶対に確保しなくてはならないし、それは俺の役目でもある。
注意深く観察し、どんなことが起きても冷静に対処しなくては――――
「おいルリ!黒い竜が倒れるぞ!」
クラインの言葉に顔を上げると、道化竜のブレスで槍剣竜のHPがゼロになりその身体をポリゴンに変えて砕け散った。
「よし!クライン、シズクの降下準備だ!俺は道化竜を引き付ける!」
「了解っ!」
クラインたちが足元に干草をばら撒き、シズクが飛び降りる。当然タゲを持ったシズクを追撃するように道化竜が下降してくるが、俺の投げたなけなしのナイフでそれを阻まれる。
ボフッ。
「ただいまー疲れたールリくんギュッてさせてー」
「アホなこと言ってないでさっさと構えろ。来るぞ!」
俺の牽制で崩れた態勢をを立て直し、再びシズクへ向かって急降下してくる道化竜。そのまま地面に激突でもしてくれればいいのだが、当然そう都合よく行くはずもなく道化竜はその巨大な尻尾でなぎ払ってくる。
「よ…っと!危ない危ない!じゃあこれ、お返しね!」
シズクはすんでのところでその攻撃をかわし、逆にソードスキルで反撃を試みる。が、
「あらら、流石にかったいねぇ……」
ガキン、という音と共にシズクの剣が弾かれる。見れば道化竜の方には僅かな傷がついただけで、HPバーはミリ単位しか減っていない。速さ特化のシズクの剣は、装甲の硬い敵とは相性が悪いのだ。もちろん、俺のチンケなナイフも通らない。
だが、硬い鱗に覆われていない部分なら――――
「せい、やああッ!」
技後硬直から解放されたシズクは道化竜の側面へと回り、大きな翼へ向かって再びソードスキルを発動する。
「グルゥォオオッ……!」
クリティカルヒットとは行かないまでも、先ほどに比べれば強烈な一撃が入る。
流石に翼を破られるのはマズイからだろう。道化竜はすぐに飛翔し、ブレス攻撃の予備動作に入る。
赤と黒の禍々しい炎が竜の口内で大きく揺らめき、こちらを焼き尽くそうとする。が――――
「当然、俺がそれを許すわけねえだろ……ッ!」
《シングルシュート》で投擲された投げナイフが一条の流星となり道化竜の口元へ飛来し、狙いを寸分も違わず炎を貫く。ナイフが当たり判定のある箇所に触れたため、ブレスはその場で暴発し道化竜は耐え切れずに暴れながら落ちてくる。
途中でバランスを取り戻すが、タゲを持っているシズクが地上にいるので結局ヤツは地上へ向かってくる。ブレスを連発できるならそのまま空中から攻
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