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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
461部分:第六十四話 サジタリアスの雷その六

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第六十四話 サジタリアスの雷その六

「炎を使ったか」
「このミロ、ただ弱点を攻めるだけではない」
 それだけではないというのである。
「こうしてだ。炎を使うこともできるのだ」
「蠍の尾から炎も放つというのだな」
「如何にも。そしてだ」
 さらに言う彼だった。
「魔物を倒すのは炎と決まっている」
「降魔の炎というわけか」
「御前達狂闘士が使う炎は全てを焼き尽くす戦火」
 まさにそれである。アーレスの炎はそれなのだ。
「だが我等聖闘士の炎は邪悪を焼き尽くす炎というわけだ」
「我等を退ける炎というのだな」
「その通りだ。デスマスクの炎ともまた違う」
 それはその通りだった。ミロの今の炎とデスマスクがドイツでの戦いで見せたあの青い炎は全く別だった。あれは魂を焼く炎であった。
「それを見せたのだ」
「それではだ」
 技は破られた。しかしサリアはまだ負けてはいなかった。その心は。
「私もまた技を見せよう」
「来るのか」
「言った筈だ。今の技は私の持っている魔の技の一つに過ぎない」
 こう言うのである。
「だからこそだ。再び見せよう」
「ならば再びだ」
 再度対峙する両者であった。
「俺も闘おう」
「ここで貴様が倒れるか」
「それとも貴様か」
 両者は互いの目を見据え合っている。そこから目を離そうとしない。
「それを決めるのが今だ」
「ならば」
「行くぞ」
 再び技を放つサリア。次の技は。
 右手に何かを出して来た。それは。
「それは」
「杖だ」
 そうだった。彼はその手に杖を出して来たのである。そしてその右手に持っている杖を今ミロに対して投げたのだった。まるで投擲の様に。
「デモンズロッド!」
「悪魔の杖だというのか」
「そうだ、このサタナキアのサリアの杖だ」
 杖を投げたうえでの言葉であった。
「それがこの杖だ」
「くっ、この杖は」
 技を放たれてからすぐに気付いたミロだった。
「やはり普通の杖ではないか」
「このサリアの杖が普通の杖である筈がない」
 こう言葉も返すサリアであった。
「スコーピオンよ、その杖を受けてだ」
「むう・・・・・・」
「今度こそ倒れるがいい」
 杖を放ったうえでの言葉であった。今まさに杖が放たれた。ミロはその杖を前にしてその魔からどう身を護るか選択をさせられていた。


第六十四話   完


                2009・10・26

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