第二十話 早世の家その十三
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「この度もありましたし」
「それでは」
「あの方はむしろマイラ様よりもです」
「注意すべきですね」
「マリー様を害するおつもりはない様ですが」
しかしというのだ。
「お気をつけ下さい」
「事情が変わればですね」
「その時若しマリー様が無力ならば」
即ち何の権力も後ろ盾もなければというのだ。
「危ういですから」
「その為にも」
「私も思います」
「宰相と内外の大臣を」
「誰かをお就け下さい」
マリーが頼る者達からというのだ。
「是非」
「わかりました、では」
「マリー様は死なれるおつもりはないですね」
「私はこの国をよりよくしていきたいです」
マリーはキャスリング卿の今の問いにこう答えた。
「必ず」
「そう思われるならです」
「力をですね」
「持たれて下さい」
「願いを、この国と民の幸せを願うそれを適える為にも」
「まずは力です」
「それが必要だというのなら」
意を決した顔になりだ、マリーはキャスリング卿に答えた。
「私はその力を手に入れましょう」
「それでは」
「宰相はロドネイ公にお願いします」
マリーはまずは彼に顔を向けて言った。
「グラッドソン大司教は内大臣、デューダー卿は外交を」
「はい」
「それでは」
「我々はその立場に」
「就ける様に動きましょう、そしてデューダー卿は」
残る彼はというと。
「近衛隊長は既にオズワルド公が頼みとされる方を任じられることになりましたが」
「それでもですか」
「将軍の一人に」
「その立場にですね」
「就いてもらいます、私はこの国と民の為に」
意を決したままだった、その顔も声も。
「力を持ちます」
「その様に」
四人の臣達も応えた、マリーは今決意したのだった。自身が国と民の為に力を持つことを。だが女王の座までは願えなかった。彼女自身の心境により。
第二十話 完
2016・8・10
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