第二十話 早世の家その十二
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「正室のお子が嫡流となり」
「それで、ですね」
「はい、あの方はです」
「王位継承権がおありでも」
「正式には第三位となられます」
マリー、彼女の養子となり北の王国から迎えられる王子だ。
「あの方は」
「そうなのですね」
「このことを変えられたいのならば」
「私が、ですか」
「この国の主となられ」
即ち女王にというのだ。
「そのうえで王室典範を変えられることです」
「母親がどうであれ」
「はい、立場の違いをなくす」
「その様にですね」
「されて下さい」
マリーに厳かな声で話した。
「それもまた政です」
「それでは」
「何はともあれです」
大司教がまたマリーに言ってきた。
「三つの大臣の席を持ちましょう」
「では」
「そうして力を持たれることです」
「国の中で、ですね」
「左様です、マイラ様には帝国がおられます」
大司教はこのこともだ、マリーに話した。
「このことはかなりのものです」
「帝国はやはり強大です」
デューダー卿も言った。
「確かに我が国の味方ですが」
「マイラ姉様の味方ですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「あの方の」
「この国の旧教の味方ですね」
「次第に後ろ盾になろうとしています」
味方どころかというのだ。
「そしてです」
「この国も、ですね」
「ロートリンゲン家のものにしようとしています」
「この国も」
「あの国は戦いを挑むことは稀です」
戦争は出来るだけ避けよ、ロートリンゲン家の家訓にもある。この家が武力に訴えるのはまさに最後の最後なのだ。
「それよりもです」
「婚姻ですね」
「そうです、婚姻でその国にお子をもうけ」
「そのお子を王位に就ける」
「そうしてですね」
「その国を自らのものにします」
デューダー卿はマリーにロートリンゲン家のやり方を話した、このことは誰もが知っていることである。現にそうして大きくなってきた家だからだ。
「だからこそ」
「この国もまた」
「マイラ様の夫となられたのです」
「そうでしたね」
「この国はこの国のままですが」
しかしというのだ。
「王家はです」
「ロートリンゲン家のものになる」
「まさに」
「そうする為に」
「マイラ様と共にいるのです」
「太子が」
「あの方が動かれたからこそのことです」
キャスリング卿の言葉は諫言や進言、そうした響きのものになっていた。
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