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Three Roses
第二十話 早世の家その十

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「空きましたら」
「では今から」
「はい、それがいいかと」
 キャスリング卿はマリーのその言葉に答えた。
「今の時点で、です」
「動きはじめてですね」
「そしてそのうえで」
「それぞれの大臣の席が空けば」
「その席を手に入れましょう」
 彼等がというのだ。
「そしてです」
「基盤を、ですか」
「手に入れましょう」
「わかりました、ただ」
 ここでだ、マリーはキャスリング卿そして他の周りの者達にこうも言ったのだった。
「私はお姉様にはです」
「特にですね」
「はい、敵対するつもりはなく」
 こうキャスリング卿に答えたのだった。
「そしてです」
「玉座もですね」
「お姉様がとさえです」
「思われていますか」
「そうですが」
「そのお気持ち察します」
 キャスリング卿はマリーの言葉を聞いて畏まって答えた。
「それは、しかし」
「それでもですか」
「玉座は共同統治であろうともです」
「国を治める者はですね」
「常に一人です」
 そうなっているというのだ。
「王は」
「真の王は」
「そうです」
 まさにというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「若しマイラ様が玉座に就かれます」
「その時にです」
 キャスリング卿と交代する形でだ、ロドネイ公がマリーに再び言って来た。
「マリー様が全くの無力なら」
「その時はですか」
「マリー様は一介の市井の民ではありません」
「王族の者だからですか」
「それも王位継承権第一位です」
 その立場にあるからだというのだ。
「それで何も持っておられないのなら」
「若しお姉様が私を疑われ」
「周りの方々でもです」
 そうなればというのだ。
「マリー様は籠の中の鳥と同じです」
「全くの無力なら」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「マイラ様を女王にされてもと思われていてもです」
「力は必要ですか」
「手出しさせない、そして手出しすれば」
「その時にはですね」
「対抗出来る力があれば」
 それならばというのだ。
「必ずです」
「若しもの時に」
「マリー様のお命を救います」
「だからですか」
「力は必要です」
 こうマリーに話した。
「大臣の席も」
「国政への影響力も」
「そうです、ですから」
「宰相、内外の大臣の三つは」
「我等が手に入れましょう」
 こう言うのだった。
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