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Three Roses
第二十話 早世の家その八

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「今すぐに金と酒、馳走を彼等に振る舞う」
「太子ご自身が」
「そうされますか」
「卿等と共にな」
 そうすると言うのだった。
「ではかかろう」
「わかりました」
「それでは」
 旧教徒の諸侯達も頷いて応えた、そのうえで太子は彼等を率いる形ですぐに軍全体にばら撒くべきものをばら撒いた、その動きは。
 マリー達にとって思ったよりも速かった、それでだった。
 軍担当の大臣はオズワルト公となった、このことについてロドネイ公達はマリーに対して申し訳ない顔で言った。
「申し訳ありません」
「軍担当の大臣はオズワルト公に決まりました」
「軍全体からの支持もあり」
「そうなりました」
「そうですね、ですが」
 マリーも彼等の言葉を受けて言う、ロドネイ公だけでなくグラッドソン大司教のデューダー卿、キャスリング卿もいる。
「このことは仕方がないです」
「そう言って下さいますか」
「その様に」
「そして、ですか」
「我等を」
「許すも何もです」
 こう返したマリーだった。
「私の不覚です」
「軍を握れなかったことは」
「このことはですか」
「マリー様ご自身の落ち度だと」
「そう言われるのですか」
「そうです、私がです」
 他ならぬ自分自身がというのだ。
「動きが遅れました、ですから」
「あちらが先に動き」
「そしてですね」
「軍を握られた」
「そうだといいますか」
「そろそろと思っていましたが」
 マリーはキャスリング卿を見て言った。
「キャスリング卿にです」
「軍の大臣にですね」
「なって頂く為に動こうと思っていましたが」
「それが、ですね」
「はい、太子がです」
 他ならぬ彼がというのだ、マイラの夫である。
「動かれて」
「太子ですが」
 大司教はその目をやや顰めさせてマリーに話した。
「確かにこの機会をです」
「逃さずにですね」
「はい、動かれて」
 大臣の席が空いたまさにその瞬間にというのだ。
「軍全体に、兵士達に至るまで金銭と美酒それに馳走をばら撒いて」
「そしてですね」
「そのうえで、です」
 まさにというのだ。
「オズワルト公を軍担当の大臣にされました」
「そして軍をですね」
「掌握されました」
「そうですね」
「思いますに」
 大司教はマリーにさらに話した。
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