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嫌われの忌み子あれば拾われる鬼子あり
第1章 番外編 誰かの想い、自分の想い
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声質から大人で30代あたりだと想像できる低めの声だ。

「…ああ、聞こえてるぜ。てめぇか?この煙は」

「ご名答。そちらはとても大層な魔法使うじゃないか、お陰で部下が一人残らず氷漬けになっちまった」

「先にうちの弟に手を出したお前らが悪い」

「弟、とな?」

「俺はレイジャル・テスタロット。生き残った弟のルイスの兄だ。もっとも死んでルイスの別の人格として顕現してるだけだけどな」

「へぇ…長いからレイでいいや。おいレイ、お前捕まる気は?」

「ないな、俺はこれからやらなきゃならねぇ事があんだよ」

「そうか、ならとりあえずその氷を消してくれよ」

「ならお前の煙を消せ」

「ほらよ」

軽い調子の言葉でさっきまでかかっていた煙が消えた。視界がはっきりとし、氷を消した。
周りにあるおびただしい量の氷像とその後に立つ鎧を身につけ警戒心を強める若い男と、対照に鎧を身につけず煙管を手に持った中年の男。さっきまで話していたのが中年の方だろうと予測できる。

「それで、お前らはどうするつもりだ?」

「どうするも、お前を捕まえ直すに決まっている!!」

「俺は帰るけどな、後はよろしくなレオ」

煙管を吹かせながら、後ろを向き後ろ手で手を振り去ろうとする。

「待てカイル!貴様、兵士として恥ずかしくないのか!!」

「別に、殺される奴らが悪いんだよ。俺は悪くないね」

「そいつらの為に敵を討つという気持ちはないのか!」

「ないね、それで死んだら無駄だ。それなら報告しに帰った方がよっぽど有意義だ」

「貴様…!」

「ほれ、俺ばっかに気を取られてると殺られるぜ。王国最強の一角、慈愛の騎士レオ・ネブラスカ」

「ちっ、俺が相手になる!!仇の為に!貴様をもう1度牢獄へと送り返す!!」

若い兵士、レオがレイの方を向き剣を構え直した。

「仲間割れは済んだかよ。とりあえずはてめぇを返り討ちにするだけで済みそうだ」

「来い!!貴様に討たれた者達への想いを我が力になる!!」

魔力がレオの持っている剣に集約される。

「エルサイア」

氷の槍がレオの下から突き出すように出てくる。
「へぁ!!」

それを後ろに飛び回避してからその氷の槍を切り落とした。

「ウルハクア」

炎弾がレオの四方から射出される。

「ガルヨーフ」

追加して風刃が炎弾の隙間から放たれ、逃げ場を無くす。

「エルドーラ!!」

水の壁を四方と真上に設置し水の箱を作り出した。その水に触れた炎弾はその水にまとわりつく様にその箱を覆った。風の刃は炎を強める役割になっていた。

「何故消えない!?水に触れた火は消えるはず…」

「てめぇが俺の魔法を消せるほどの力
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