118章 芸術や音楽やボブ・ディランに、乾杯!
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、ふと思ったりしたんですけどね。でも、よかったですよ。光栄ですって言って。
なんでもかんでも、いたずらに、権威や権力に反抗するのも、子どもっぽいですからね。
あっははは」
「わたしも、ディランのノーベル文学賞の授与の決定は、すごっく嬉しい!」
詩織は、微笑んで、そう言うと、信也と竜太郎と奈緒美と目を合わせる。
「歌とか、芸術って、平和に役立つのよね!ラブ&ピース、
これからの世の中には、1番に大切なものだと思うんだけど、わたし」
奈緒美が、つぶやくような声でそう言った。
「そうだよ、奈緒ちゃん、そのとおりだよ。最近読んだ本なんだけど、
池上彰の『おとなの教養』って本の中では、
『すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる』とか書いてあってね。
池上さんは、2013年に、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学を視察したんだけど、
世界のトップクラスのこれらの大学では、リベラルアーツ教育が基本なんだってさ。
リベラルアーツって、リベラル(liberal)は自由で、
アーツ(arts)は、技術、学問、芸術を意味するんだよね。
だから、リベラルアーツの意味は『人を自由にする学問』ってことなんだよね。
マサチューセッツ工科大学では、ピアノがずらりと並んで、音楽の勉強をしていたんだってさ。
この大学では、科学技術の最先端を研究しているんだけどね。
池上さんが、なぜか尋ねると、そこの先生が、こんなことを言ったんだってさ。
『最先端の科学技術をいくら教えても、世の中に出ていくと、
世の中の進歩は速いものだから、だいたい4年で陳腐化してしまう。
4年で古くなるものを大学で教えてもしょうがない。社会に出て新しいものが出てきても、
それを吸収し、あるいは自ら新しいものを作り出してゆく。
そういうスキル、つまり、技能や力量を、教えてゆくべきでしょう』ってなことを。
それが、教養であって、リベラルアーツであって、音楽もそのひとつであるってことなんだよね。
おれも、よくわかるんだよね。この考え方は。みんなも共感するでしょう!」
ちょっと酔って、上機嫌で、竜太郎がそう言うと、
みんなは「うん、うん」と頷く。
「あの哲学者のフリードリヒ・ニーチェは、
『芸術の本質は、生存、つまり人生の肯定や祝福や神聖化にある』ということを言っていますよね。
晩年は、ロシアの作家のドストエフスキーに傾倒して
『ドストエフスキーは何という救いの力を持っていることか!』と言っていますよね。
ドイツの文学者のゲーテとかにも傾倒していたニーチェみたいに、
人生や芸術について、考えつくした思想家は、今でもなかなか
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