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テキはトモダチ
8. 夜の密会 〜電〜
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過できない問題なのではないでしょうか」

 涙目で口を押さえた大淀さんがくぐもった声でそう言った。どうやら事態は私が思っていたよりも大事らしい。少なくとも大淀さんの中では。

「え……でも、司令官さんと集積地さんがドライで大人な関係ってだけの話ではないのです……?」
「キッカケが問題なんです。そもそもなぜ二人がそのような関係になったのか……」
「?」
「お互い相手のことを想っての結果なら別にいいと私も思うのですが……たとえば……」

 ここで大淀さんは、大げさな身振り手振りを交え司令官さんと集積地さんのモノマネを交えながら、二人の仲のキッカケを推理してくれた。

『あぁ……周囲は可愛い女の子だらけ……ヤル気は溜まる一方……』
「……」
『どうすんだー……まさか艦娘たちに手を出すわけにはいかんしなー……』
「……」
『……そうだ! 集積地に手を出せばいいのか! アイツは深海棲艦だし、PT子鬼を人質に取れば好きに手を出せるぞー!!』

 大淀さん……司令官さんの声真似がとってもお上手なのです……でも似過ぎてて逆に笑えない……なんだか表情までそっくりに見える。でもあの死んだ魚の眼までは再現出来てなくて、それが違和感があって見ているこっちとしては逆に気持ち悪い。

『というわけで集積地……』
『な、なんだ……ガクガクブルブル……』
『お前、誰のおかげでこの鎮守府にいられると思ってるの?』
『い、電のおかげだ! 私は電に助けられたんだ!!』

 どうでもいいですけど大淀さん……集積地さんの声真似はビックリするぐらいクオリティが低いのです……司令官さんの声真似が気持ち悪いくらい似ているだけに、残念クオリティのせいで笑いよりも悲しみが胸いっぱいに広がるのです……

『おいおい。お前を鎮守府にかくまってるのは俺なのよ?』
『なんだとッ!?』
『この前、中将からお前をかばったのも俺』
『く、くそッ!』
『つまりお前は、俺のおかげでこの鎮守府にいられるんだ! そのPT子鬼の奴らもな!!』

 なんだか大淀さんの演技に迫力がこもってきた。段々ノッてきたようだ。まさかこういうシュミが大淀さんにあるというわけではなかろうな……個人のシュミに関してどうこう言うつもりはないけれど、なんだか妙な心配までしてしまう。大丈夫なのか大淀さん。

『お前だけじゃない……PT子鬼たちも、ここに置いてやらにゃあいかんよなぁ? 』
『キショワァァアアアア!! キショワァアアアアアア!!!』

 子鬼さんたちのつもりなのだろうか。大淀さんは今まで見たことないようなブサイクな表情でケッタイな叫び声を上げていた。大淀さん、子鬼さんたちはそんなに気持ち悪い声は出さないのです……いや確かに顔はキモいですけど。

『お、お前たち……!』

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