8. 夜の密会 〜電〜
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バウトで大丈夫なのかな……。
その後私は先に間宮さんに赴き、クリームあんみつとお茶を注文して大淀さんを待った。大淀さんが話を通しておいてくれたのか、私が間宮さんに到着すると奥の個室のようなところに通された。よかった。ここなら内緒話が周囲に漏れることはない。
10分ほどしてやってきた大淀さんは天ぷらそばとお茶を頼んでいた。この前みたいなどら焼きはないけれど、お茶は苦味も控えめでとても美味しいお茶だった。お茶の熱さは、ショッキングピンク気味の私の頭にホッと一息つかせてくれる。
「……さて電さん」
「はいなのです」
「何かあったんですか? ひょっとして提督がらみのことですか?」
優しい微笑みを浮かべながら、大淀さんが優しくこう質問してくれた。私は今しがた食堂で起こった一部始終を大淀さんに伝える。出来るだけ詳細に……でも誤解のないように……大淀さんは茶化すでもなく、かといって照れる風でも恥ずかしがる風でもなく……至極真剣に私の話に耳を傾けてくれた。
「そうですねー……」
「大淀さんはどう思うのです?」
「うーん……ずずっ」
「……」
「……提督の魂が抜けやすいのはなんとかしなければならない問題だと思います」
大淀さん……なんでこんな時に限って頼りなさそうなのです……?
「えーと……司令官さんのオカルト的虚弱体質に関しては特に問題ではないかと〜……」
「でも作戦行動中に急に口から魂が漏れはじめたら……」
いやもっともですけど。大淀さんの心配ももっともですけど、なんか違うのです……。
「えと……」
「?」
「司令官さんと集積地さんて、仲よかったのです?」
「私はあまり聞いたことないですねその辺は。元々そんなに悪くはなかったとは思いますけど」
「確かにそうだったのです……」
「集積地さん絡みだと、私より電さんの方が詳しいと思いますよ?」
「うーん……たしかにお二人の仲は悪くはないとは思うのですけど……」
そう。決して悪くはない。悪くはないのだが、良いというわけでもない。仲が良ければもっとこう……
『集積地……俺はお前を愛している(イケメンボイス)』
『私もだ……提督、お前を愛している(色っぽい声)』
という会話が食堂で繰り広げられてもいいはずだ。もっと二人がベタベタイチャイチャしててもいいはずだ。
でも実際はどうかと言うと……
『お前だって俺のこと受け入れたじゃないのー(死んだ声)』
『毎晩毎晩相手をする私の身にもなれー(可愛くない声)』
こんな感じだ。お互いがお互いに対する愛情の一欠片もないやりとりしか私は見ていない。
「司令官さんの様子、最近少しおかしくないですか?」
「うーん……言われてみると最近は毎日、夜の業務を終わらせ
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