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テキはトモダチ
8. 夜の密会 〜電〜
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れだけ私に吐き出しといて溜まってる自覚がないのか……」
「いや、まぁストレスは溜まってるだろうけど、顔に出してるつもりはなかった」
「そもそも毎晩だぞ? あれだけ付き合ってやったのに次の日にはもうあんなに溜まってるってどういうことだ?」
「……あのー」
「ん? どうしたイナズマ?」
「……」

 ダメだ……聞けば聞くほどふしだらに聞こえてくる……。

「そういう話は、夜になってから電がいないところでやって欲しいのです……」
「なぜ?」
「なぜって……」

 気付いて欲しいのです集積地さん……人間や艦娘には人情の機微とか相応しい時間帯とかTPOとかがあるのです。こういう時にハッキリと口に出せる天龍さんがうらやましい……でもハッキリ言ったら言ったで、それはまたTPOをわきまえてないような……。

「えーと……」
「?」
「司令官さんと集積地さんがお付き合いしてるなら、別にいいと思うのですけどー……」
「私と提督がか? ないない。こんなオッサンは好みじゃないよ。私はそんなに変じゃない」
「うわー……全国の親父フェチを敵に回したぞ今の発言」
「そんな私に身を委ねざるをえないのが、今のお前の惨状だ」
「う……まぁ、たしかに……」

 はわわわわわわわわわ……二人は付き合ってるわけではなくて……つまりあのテのドライなフレンド関係なのです? しかも二人とも、臆面もなく真っ昼間からこんなところでハッキリ言わなくても……

「だいたい、提督の加齢臭はけっこうキツいしな。将来のお前の伴侶はきっと大変だろう。私に相手してもらえるだけありがたいと思え」
「勘弁してよー……これでも毎日フローラルな石鹸で丹念に身体洗ってるんだよ?」
「末期だな。毎晩お前と会ってる私が言うんだ。間違いない」

 ダメだ。普通の会話すらなんだか不埒な内容に聞こえてしまう。司令官さんの体臭をキツいと思う機会って他にどんな機会があるんだ? やはりこれは……

「ご、ごちそうさまなのです!!」
「あれ? 電もういいの?」
「お、お腹いっぱいなのです!」
「そうか。んじゃまたあとでな。資材貯蔵庫で待ってるぞ」
「はいなのです!」

 もう二人の会話について行けない……これ以上いたら私の頭の中が完全にショッキングピンク一色に染まってしまう……いたたまれなくなった私はまだご飯が残っている食器を片付け、早々に食堂を出た。おかげで全然お昼ごはんを食べた気がしない。おかずのハンバーグ、とっても美味しかったのに……

 食堂を出た私は、そのまま執務室に向かう。執務室には、恐らく司令官さんといつも代わりばんこにご飯を食べている大淀さんがいるはずだ。私は事の真相を探るため、執務室の大淀さんを訪れることにした。

 ヒビが入ったドアを軽くノックする。
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