闇-ダークネス-part3/繰り返される別離
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また一緒に…二人で…なぁ………」
一言も、帰ってくることは無かった。聞こえるのは、雨の音だけ…。
シュウは、泣いた。
叫んだ。
天にも届くほどの、声にならない涙の咆哮を轟かせていた。ひたすら泣き叫んだ。燃え尽きるまで、ただひたすら叫び続けた。
腕の中に、愛しかった少女の亡骸を抱きしめながら。
そして、気がついたらシュウは、ある場所で眠っていた。
窓もない。完全に外界と隔離された場所だった。
あぁ…そうか。
シュウは愛梨の治療のために、治療費のうち足りない分を盗みや詐欺といった犯罪さえも行うことで補っていた。それ以前に、ビースト殲滅兵器の開発と研究の資金調達のためにも同じことをしていた。
愛梨の死を見取った後、ついに逮捕されたのだろう。
自分が捕まったことなどどうでもよかった。もう愛梨はいないのだから。TLTにもアカデミーにも、おそらく帰ることはできないだろう。
つくづく、ついていない…。まぁ、どうせこの先も意味も無く生きていくことになるのだ。警察の牢屋の中で、静かに獄死するのもいいかも…。
そう思っていると、彼の元を訪ねてきた男がきた。眼鏡をかけた、どこか怪しさを放つ壮年の男だった。
「黒崎修平さん、ですね」
「…あなたは?」
「初めまして。TLTの管理官を勤める、松永と申します」
そこに現れたのは、後にシュウの上司となる男、松永要一郎だった。
「TLT…!?」
シュウは目を見開いた。なぜ今になってTLTの人間が自分に接触してきたのだ。
「あなたの設計した対ビースト殲滅兵器の設計図のおかげで、我々TLTはビーストに対抗できるだけの兵器をもって、ビーストと戦う力を身につけました。感謝します」
「…褒められても嬉しくありません。私は…そんな人間ではありません」
新宿大災害、姫矢の訪れた紛争地域、そして愛梨のこと…それら全てにおいて自分はたいした成果を上げるどころか、場合によっては最悪の結果ばかりを残してしまった。
「そんな人間に、なぜ管理官という役職についているあなたがここに来たんです?一体なぜ…私のような出来損ないの元に来たんですか?」
「…相当、今回の件で参っているようですね。無理も無いでしょう。
あなたは病に犯された少女を救うために、あらゆる非行を行ってまで治療費を稼いだ。だが、その少女が入院していた病院が、突然ビーストによる襲撃で、結局全てを失った…。
心中、お察しします。ですが、我々には、あなたに過去を悔やむ時間を与えるわけにはいかないのです」
「どういう意味ですか…?」
いまいち食えないというか、つかみどころの無い、そんな笑みにも似た表情を向けながら、松永から驚くべき通達を受けることになった。
「黒崎修平さん。あなたを新たなナイト
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