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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
闇-ダークネス-part3/繰り返される別離
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倒れたそのビーストヒューマンは二度と動かなくなった。
「状況終了、生存者を確保」
「了解!」
現れたのは5人の、紺色の軍服を着た集団だった。隊長らしき男が、ヘルメットのバイサーをあげて部下に命令を下した。
「生体反応によると、生存者はこの二人だけです。でも…少女の方は…」
「そうか…」
もしや、とシュウは彼らを見て予想した。彼らはTLTが結成させた、対ビースト殲滅部隊なのか?
事実その通りだった。後にシュウが所属することになる対ビースト殲滅特殊部隊、ナイトレイダーAユニットのメンバーたちだった。今は、シュウの前任者でもあったという隊員『石堀』がパルスブレイガーによる生体反応探知の結果を和倉隊長に伝えていた。
いや、そんなことよりも愛梨のことだ。シュウは直ちに彼女の元に駆け寄り、腕の中に収めた。
「愛梨…」
「シュウ…」
名前を呼ぶと、弱り果てた…今にも消え入りそうな声が返ってきた。

なんで、こんなことになった…?

自分が紛争地域の一件を引きずって、役目から逃げたばっかりに、愛梨がこうなったのか…?

思えば、自分が携わった計画全てにおいて犠牲者がいた。
ザ・ワンが襲撃した新宿大災害。紛争地帯に出現したビーストの処理をかねた、対ビースト兵器のテスト。
全部、自分が関わったことで、どれにおいても死人が出た。
「俺の…俺のせいだ…」
もし自分が、紛争地域から離脱しTLTからの迎えをよこしてもらったとき、いちいち卑屈にならないで、ダラスに帰って、一人で新兵器の設計にかかっていれば、あるいは…。
「…もう…またそうやって…自分のせいだって…いうんだから…」
かすれた声で愛梨が口を開いた。
「前にも言ったでしょ…シュウって、なんでも自分ひとりでやろうとする…悪い癖…だよ…。
だから…もっと…仲間に頼っても…いい…んだよ…」
今にも消え入りそうな笑みを浮かべ、シュウの頬に触れる。
「もういい!喋るな!!愛梨…頼む…死ぬな…」
自分の頬に手を添える愛梨の、その細い手を掴み、シュウは必死に訴えた。だが、その願いとは裏腹に、彼女の手は次第に冷たくなっていた。
雨がさらに強く降り注いでいく。
「あぁ…残念…だな…もっと…シュ…一緒…られ…ら……」
「やめろ…!!お願いだ…逝くな…逝かないでくれ…!!」
必死に呼びかけ、彼女のこの世に留めようと躍起になった。

「ごめん…ね…シュ…ウ…」

しかし、現実は彼を裏切った。
抜け落ちていく彼女の手。下ろされた劇場の幕のように閉じていく瞼。

「………ッ……!!!」

絶対に起こってほしくなかった。だから今まで必死こいてきたというのに、それなのに…

「愛梨…?どうした…?なんで寝ているんだ…?」


「頼むよ…目を開けてくれ…」



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