闇-ダークネス-part3/繰り返される別離
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た、としても今の爆発は規模が大きすぎた。
「わからない…でも、いきなり病院全体が一気に…爆発して…」
なんてことだ。せっかく忌まわしい病気から彼女が救われるはずだったその日に、こんな不慮の事故が発生するなんて。
とにかく、逃げなくては。絶対に逃げ切って、彼女だけは絶対に守らなければ!シュウは彼女を腕に抱え、すぐに燃え盛る病院からの脱出を図る。
しかし…追い詰めるように彼らの前に脅威が立ちはだかる。
「!」
炎の向こうから、人影が飛び出してきた。逃げ遅れた人だろうか?…いや、違う!
現れたのは、確かに人間だった。しかし正確には…『人間』の姿をしたビースト、『ビーストヒューマン』だったのだ。
「ウアアアアアア!!!」
ホラーゲームのゾンビのような奇怪な声を上げながら、彼らはシュウと愛梨に襲い掛かってきた。シュウは彼女を抱えたまま、引き返すしかなかった。
結局、二人は病院の中庭に出た。そこは入り口からは遠い位置にあった。
「くそ…!」
またしてもビーストが絡んでいたのか。自分は、結局こいつらから逃れられないというのか。こんなときに自作の対ビースト兵器でもあればよかったのだが、日本じゃ武器の持ち込みは禁じられている。ビーストの存在も混乱と恐怖の蔓延を防ぐために公にされていなかったから言い訳だって通じるはずも無い。
ビースト以外にも炎の脅威がある。ひとまず、まだ燃え移っていない壁の陰に隠れ、愛梨を下ろした。外だから窒息の危険も少ない。せめて誰か助けに来てくれたらよかったのだが…。
ひとまずの安心が、シュウの油断を誘った。
「!危ない!」
突如、愛梨が叫び、気力を振り絞ってシュウを突き飛ばした。
すると、突如彼らの背後の窓を突き破り、男性医師の姿をしたビーストヒューマンが一人現れた。
口をむき出しにし、シュウを突き飛ばした愛梨に向けてその口を広げ…
「ッ!!!」
愛梨の腹を食いちぎった。
「愛梨!!」
腹を持っていかれた彼女は、そのまま地に落ちた。
すぐに立ち上がり、彼女の元へ駆け寄るシュウ。火事で負った怪我ならまだ何とか助けられたかもしれない。だが…今度のはもはや取り返しのつきそうにないものだった。
「シュ…ウ…」
目を開ける愛梨だが、その目の光はあまりに弱々しかった。病院を燃やしつくそうとする炎が、雨に打たれていくうちに、沈下していく。まるで、彼女の命の灯火が消えていくように…。
愛梨の腹を持っていった憎きビーストヒューマンが、今度は残れず捕食せんとばかりに、血に染まった口をむき出しにして迫ってきた。
もうこれまでか、と思ったときだった。
「掃討せよ!!」
「「「「了解!」」」」
その声が轟くと同時に、シュウの耳に4人の声が届く。瞬間、一発の弾丸がビーストヒューマンに突き刺さり、
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