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WHITE ALBUM 2 another story ~もう一つのWHITE ALBUM~
【1話】とめどなく降り続ける雪
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の少女がアコースティックギターを持っている姿を見た。
路上ライブかな?なんて予想をしていた。
俺は彼女の横を通り過ぎた。
「頑張れよ。俺はもう弾かないけどな。」
ぼそっと、独り言を呟いた。誰かに言うためではなく、自分にしっかりと言い聞かせるために。
〈すれ違う毎日は、増えてゆくけれど〉
あまりにも美しい歌声が聞こえ、俺は立ち止まり、振り返った。
・・・時間はあるし、少しぐらい聞くだけならいいよな??
路上ライブの少女のもとに近寄った。
彼女の歌声を聞き一瞬立ち止まる聴衆もいた、しかし、どうしても周りの声に阻害され、周囲にはあまり聞こえていなかったかもしれない。
だが俺は彼女の歌声だけを聞き続けていた。
周りの音など耳に入ってこない、純粋に一つの声だけを耳に入れた。
〈白い雪が街に、優しく積もるように。アルバムの空白を全部、埋めてしまおう〉
気がつけば既に彼女は一曲目を歌い終わっていた。
俺は今まで誰かの歌声を聴いてこんなに感動に近い感情を抱いたことがあっただろうか。
いや、
歌声
(
・・
)
では初めてだ。
俺は無意識のうちに拍手をしていた。
ただ、他に拍手の音が鳴らないので、周りを見渡してみると、周りにいた先ほどの聴衆は姿を消していた。
「最後まで聴いてくださってありがとうございます」
少女の声はどこか寂しさが残っていた。
「短い時間でしたが次が最後の曲になります!今日初めて路上ライブをやらせて頂いて、それなのに最後まで聴いてくださる方がいて、本当に嬉しいです!」
俺はただ一心に彼女の言葉を聞き続けた。
「私はREIと言います。今後も路上ライブやらせていただきますのでよろしくお願いします!
では、聴いてください。」
俺は息を呑んだ。彼女の次に歌う曲は何だろうかそんな期待ともう終わってしまう喪失感が心に残る。
もっと、聴いていたかった。
素直にそんな風に思えた。
「届かない恋」
鳴り始めたアコースティックギター、先ほどは気付かなかったが彼女はギターも普通に上手い。ピッキングの音も綺麗で心地よい。
〈孤独な振りをしてるの、なぜだろう気になっていた〉
アコースティックでやっているせいか、よく聞くテンポよりも遅く、いつもとは違った印象を受けた。
こんなに、悲しい曲だっけ・・・。
まるで、心臓が握るつぶされるように痛い。
さらに、その奥に感じられる切なさが自分を締め付ける。
サビに入る前に彼女は一呼吸置いた。
その時ちょうど車のライトに照らされて、ぼやけて見えなかった少女はこげ茶色のロングストレートの髪で雪の結晶のヘアピンをつけ、言葉に出せないぐらいの美少女だった。
その少女の姿はまるで
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