§71 三馬鹿ならきっと根性で侵入出来る
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、それもそうね。黎斗の妹を人質にとるような、救いようのない人たちもいるのですもの。他人を巻き込んだ自殺とかやめてほしいわ」
好き勝手言ってくれる二人である。そんな被害生産期になったつもりはないのだけれど。
「……自爆テロ、ねぇ。そういう見方になるのか」
「おいまてなんで俺を見た」
護堂や羅濠教主、ヴォバン侯爵のめちゃくちゃっぷりを見ていると遺憾ながら同意せざるを得ない。都市に嵐を呼んで壊滅状態にするだとか、音で周辺を粉砕して崩壊寸前まで追い込むだとか、猪で世界遺産を破壊するだとか。特に最後。
「大体黎斗だってデタラメな範囲の権能あるじゃねぇか」
「戦うたびに被害総額で役所の予算使い切りそうな護堂に言われたくないです」
「…………」
黙り込む護堂。自覚は少しはあったらしい。というか、予算とかどうなっているのだろう。テレビの中と現実は違う。週一で怪人や怪獣が町を破壊するが、翌週にはケロッと直っているような世界ではない。時間と金をかけて、役人や業者の涙ぐましい努力の末に都市の再建が行われている筈なのだ。その予算はどこから来る?
「魔王予算とか魔王基金、果ては魔王特需なんてものがあったりするんだろうか……」
「黎斗、きっと考えたら負けだ」
考えるのを諦めた様子の護堂に肩を叩かれて――――黎斗もそのうち考えるのをやめた。考えても答えでないし。甘粕さんに聞けばわかりそうだが胃が更に痛くなりそうだし。
「つまりはお前がたいそうなトラップをしかけても無駄なんだ、ということだ」
話だいぶ戻ったな、と思うがツッコまない。政治方面の話よりは考えなくて良い分こっちの方がだいぶマシだ。
「いや、ほら。家族に見られたら死ねるじゃん?」
実家から家族が来るときはコレクションは全部須佐之男命の部屋に保管しておくのだ。義父は笑って流してくれるかもしれないが、義母の生暖かい視線や義妹の軽蔑の眼差しを受けてしまえばもう生きていけない。
「見る前にトラップで家族が死ぬぞ」
ご尤もなご指摘ありがとうございます。僕もそう思う。
「お前を殺して僕も死ぬ!、みたいな?」
僕は何を言っているんだろう。口が勝手に動いてしまう。恥を恥で上塗りしていくこの感覚。あぁ、久しぶりだ。
「黎斗、お前疲れてたんだな、なんかごめん……」
本当に申し訳なさそうな表情で護堂が謝ってくる。
「マジで僕の心に来るからホントやめて……」
なんでこんな目に合わねばならんのだ。全く今日はついてない。
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