第2章:異分子の排除
第37話「それぞれの解決」
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その様子を見て、試合を見た興奮を抑えられない見学者達を桜たちは退かせる。
ただならぬ事情を見学者達も理解したので、空気を読んで席を外した。
「(...よかったな、秋十君。)」
「(...桜さん、そういう事だったんですね...。)」
サムズアップする桜に、秋十もなぜ試合をしたのかが理解できた。
「秋十...!ぁあああ....!すまない....!」
「.......。」
堪えていたのが決壊し、涙を流す箒を秋十は黙って慰め続けた。
「本当の意思ではないとはいえ、親しい人を傷つけた...か。罪悪感が大きいだろうな...。」
「おまけに、年月もそれなりに経っている。積年の罪悪感は結構重いぞ。」
二人だけにしておく方がいいと判断した桜とシグナムも外に出て、そんな会話をする。
「...篠咲君と篠ノ之さんって一体どんな関係なの...?」
「関係...か。」
空気を読んで席を外したとはいえ、事情が気になる見学者だった一人が桜に聞く。
「秋十君自身は特に恨んだりしていないが...箒ちゃんはそんな秋十君に負い目を感じているんだ。それも、面と向かって喋るのも苦労するほどにな。」
「負い目...?」
「...さすがにそれは言えないな...。」
他人の事情に深入りする訳でもないので、聞いてきた女子は引き下がる。
「...ま、剣道部所属の人ならわかるかもしれないが、箒ちゃんはちょっと話下手な所がある。...だから、敢えて剣で語らせたって訳さ。」
「そうだったんですか...。」
剣道大会優勝者と男性操縦者の一人の試合という事から見学していた女子たちだったが、そんな理由があった事に静かに驚いた。
「....なんか悪いな。こんな個人の事情に付き合わせちまって。」
「い、いえ、そんな事は....。」
申し訳なさそうにする桜に近くの女子がそう言い返す。
「...まぁ、ようやく拗れていた問題が解決されたんだ。...これからも二人と仲良くしてくれるか?」
桜がそういうと、それは愚問だとばかりに、女子たちは頷いた。
「(さて、これで秋十君との仲は全員が元に戻ったな...。)」
洗脳によって変わってしまった部分を全て直した事に、桜は少し肩の力を抜く。
「(後は...俺たちを敵に回してしまった事を、後悔してもらうか。)」
しばらく時間が経ち、落ち着いたのを見計らって道場に入りながら、桜はそう考える。
今は自室謹慎で大人しいが、いずれまた何かやらかしてくるのを見越して。
―――次...臨海学校がお前の最期の時だ...。
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