暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
第2章:異分子の排除
第37話「それぞれの解決」
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、反撃を防ぐ。

「(全て、受け止める!)」

「っ、ぁあああっ!!」

 先ほどよりも力強いが、その代わり大振りになる箒の攻撃を、秋十は逸らす事をせずに敢えて受け止める。
 秋十は分かっていた。箒が振るう竹刀に込められた想いが。

「(洗脳されていた、なんて箒にとっては言い訳にすらならない程、罪悪感を感じているんだろう。...鈴の時だってそうだったからな。)」

「ぁああああっ!!」

 強い雄叫びと共に、箒は何度も竹刀を振るう。
 それを、秋十はただひたすら正面から受け止める。

「.......。」

 ...実力は歴然だった。冷静を欠いた箒が秋十に勝てる要素はなかった。
 しかし、その一撃一撃に込められた想いから、秋十はただ勝つのを良しとしなかった。

「箒....。」

「表面上は取り繕っているが、心が泣いている...な。」

 試合を見ているシグナムと桜は、そんな二人をただ見守り続けた。

「(私はお前の無骨なまでに真っすぐな剣に憧れた...!...力強くも、美しくもなかったのに、子供ながらに私は“凄い”と感じた...!なのに...なのに私は...!)」

 それは後悔だった。
 大事に想っていた相手を、傷つけていたのだから。

「(それでも秋十、お前は....。)」

   ―――...箒....。

   ―――....来い。遠慮なんて、しなくていい。

「(こんな私を、まだ名前で呼んでくれた。受け止めてくれた....!)」

 涙を流しそうになるのを堪え、箒は再度秋十へと打ち込む。

「っ....!」

「は、ぁっ...!!」

 大きく秋十が後退する。元々受け流せばいいものを正面から受け止めていたからだ。

「くっ...!」

「ぁああああああっ!!」

 力強く、箒は竹刀を振り切った。
 それにより、秋十は大きく竹刀を弾かれ、後退する。

「....ありがとう、箒。」

「え....?っ!?」

     スパァアアン!

 瞬間、体勢を立て直した秋十が素早く二閃。
 二回の高速な斬撃で箒の竹刀を弾き飛ばし、竹刀を突きつける事で決着がついた。

「....お前の、その気持ちだけで十分だ。...また、一緒に剣道で競い合おう。」

「....秋...十......。」

 箒の頬を、一筋の涙が伝う。
 “赦された”。そう理解したからこそ、堪えていたものが溢れてきたのだ。

「....すまない....!今まで、すまなかった...!」

「...いいさ。別に箒を恨んだりしちゃいない。」

 謝る箒に、秋十は竹刀を降ろしつつそういう。

「....八神。」

「...わかっている。」


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