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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十三話 恐怖を超える想い
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イル・スフォルトゥーナ。
そう名乗った男の容姿から察することができるのは、俺と歳が同じくらいで背も近いが俺が僅かに上。
声は冷酷さを感じる低さがあるが野太いのではなく、子供っぽい高さもある。
真っ黒なワイシャツに黒と青の線が入ったネクタイを緩めて結ばれ、同色のパンツが履かれていた。
それを見ると、鎧のような雰囲気がなく、ましてや戦うと言う姿にも感じない。
だが、彼の表情や全身のオーラから放たれるのは、ドス黒いまでの殺気。
俺のことを殺したくてしょうがないと言う歪みに歪んだ思いが濁流のように溢れて流れ込んでくる。
真正面から受けてるだけで鳥肌が立って止まらない。
「雪鳴、離れてろ」
「わ、わかった」
俺はすぐにそばにいた雪鳴に離れるよう指示を出す。
目の前の相手に集中したいがために声が低くなってしまい、怖がらせてしまったかもしれない。
だけど、今は他のことに意識を飛ばせない。
「女を逃がすたぁカッコイイねぇ〜……彼女さん?」
「守りたい人だ」
目の前にいるコイツを倒すためには、悪いけど誰かに意識を飛ばす余裕なんてない。
雪鳴が安全圏に離れたのを確認したところで、俺は全ての意識を目の前の相手に集中させた。
「へぇ……いい魔力だぁ」
コイツは、俺の魔力の変化に気づいたと同時に笑みを深くし、魔力を上昇させた。
俺に合わせようとしているようであり、それは戦いの中での挨拶だろう。
なら……乗ってやる。
「はぁああああああッ!!」
「くふっ……ははは……はぁあああああああああッ!!」
俺の声に、奴の高笑いに応えるように俺たちの魔力はその質量を増していく。
武器同士がぶつかり合いながらのそれにより、周囲の大気が激しく揺れ出す。
地震のような音を響かせながら、俺と奴は身動きを取らずに戦いを続け――――爆発する。
「っ……!」
「っはぁあああ!」
爆風の勢いによって後ろに跳んだ俺たちは着地と同時に武器を構え直し、それぞれ別の動きを始める。
奴は勢いよく俺に向かって駆け出し、俺は迎え撃つために引き金を引く。
周囲に魔力弾を展開させつつ、銃口から魔力弾を放つ。
「いいねぇ……はぁ!」
奴は甲高い呼気と共に刀を振るい、俺の放つ弾丸を切り裂いていく。
弾道を複雑に変えつつ放ってみるが、どれも的確に対応されていく。
「なら……これで!」
俺は展開した全ての魔力弾……全部で五十発の弾幕を一斉に放った。
「――――ブラックダスト・メテオールッ!」
魔法名/ブラックダスト・メテオール。
周囲に展開させた無数の魔力弾を
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