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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十三話 恐怖を超える想い
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から回避するなんて信じられなかった。

 動作って、零から百になるのに時間がかかるもので、その時間が短いほど速い動きができる。

 そのために、事前に動いておくことで零からじゃなくて三十だとか五十とかから百に移行すればいい。

 だけど彼は、停止から一気に加速して私の攻撃を避けて、背後からの不意打ちもしてみせた。

 それはもう、速いってだけの話しじゃないと思う。

 何か技術的なものが必要だったはず。

 残像すら作り出すほどの光速移動技術。

 私は覚えていた。

 彼の光速移動の秘密。

 それは予備動作・加速そのものを行わず、零から百と言う急激なギアチェンジができること。

 人の動きには必ず予備動作や筋肉の動きに順番がある。

 それを目で追っていけば、相手が何をしようかある程度の予測ができる。

 だからあの時の戦いでは、私は彼の予備動作に集中してみていた。

 だけど彼にはそれがなかった。

 そしてその速度にプラスして、急激な緩急を付けることで、本来なら半透明に残るはずの残像をハッキリと残した。

 その組み合わせが、彼の幻影を用いた回避法。

 これが今、この場で再現できれば。

 だけど、今の満身創痍な身体でそれができるのかな?

 だけど、彼の存在は私の中で最強で、その最強が使う最も有効的な回避法なら――――。

 そう思いながら私は思い通りに動かない全身に指示を出す。

 最速最強の黒き剣士が見せた、最速の回避。

 そのやり方は――――、

「確か、こう――――」

 瞬間、全身が羽が生えたかのように軽くなって、視界に迫る光速の突きがスローモーションに見えた。

 迫る無数の氷柱を雷が如くすり抜け、背後に回るやいなやバルディッシュで脇腹を深々となぎ払った。

 全ては一瞬のような出来事。

 悲痛な声を上げる間もないまま、彼女は飛ばされ、コンテナに背中からぶつかった。

「え……?」

 だけど、困惑してるのは私のほうだ。

「い、今の……」

 遅れて私は、全ては自分がしたことであると理解した。

 逆転……した?

「う……ぐっ、あっ……ああああっ!!」

 気が抜けた瞬間、全身から激痛が走る。

 関節の隙間かから外されるような痛み。

 筋肉が裂けるような痛み。

 全身がバラバラになるような痛み。

 色んな痛みが一度に襲ってきて、悲鳴を上げることすら痛くて。

 黒鐘の技を模倣した代償、なのかな?

 身体の作りが違うから、彼のそれをそっくりそのまま模倣したら……確かに当然かもしれない。

「あっ――――」

 ここで私は遂に、全身を支える力を失って倒れる。

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