折れ曲がりストレート
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ラクサスが返す。
だが、ティアが驚くのも無理はない。ラクサスといえば基本的に一匹狼で、誰かと組むなんて考えられない男だ。最近は何やら仕事先でひと悶着あったらしい三人組と行動を共にしている事も多いが、それは組んでいるというよりは、一人で歩いていくラクサスを三人が追いかけているようにティアには見えていた。
そのラクサスが、正直あまり仲は良くないティアに、自ら話を持ち掛けている。意味が解らない。
「何で私?…私、誰かと仕事とか基本的に論外なんだけど」
更にいえば、持ち掛け先であるティアも一匹狼だ。止むを得ない場合以外は一人で仕事は受けるし、誰かと組む必要性を感じた事は特にない。一人では出来ない依頼を受けるからチームが必要なのであって、なら一人で片付く依頼を受ければチームは必要ないのである。幸か不幸か、ティアには一人で出来ない依頼の方が少なく、それが一匹狼に拍車をかけていた。
「確かに私とアンタが組んだら大体の仕事は片付くわ、物によってはS級の上だって何とかなるかもしれない。けど、私達じゃ性格的に合わないし、そもそもアンタと組む理由がないもの。私は別に高難度の依頼を受けたい訳じゃない、生きていく分稼げればそれでいい」
仲は良くない。むしろ悪い。そのティアにわざわざ声をかけるというなら、狙いは魔導士としての実力だろう。これでも歴代最年少でS級魔導士になった身である。ギルドでトップクラスと言われているラクサスと組めば、間違いなく最強のコンビ誕生だ。
だが、組む気などない。最強だとか高難度だとか、そんなものに興味はない。
「エルザなりミラなり、他を当たって。アルカは止めた方がいいわよ、アイツとルーはセットだから」
ひらひらと手を振りつつ、ラクサスの前を通り過ぎる。
まあミラを誘うのもアルカがいて難しいか、なんてぼんやりと考えながら――――
「まあ待てよ」
ぱし、と。
振っていた手が、掴まれた。
「……」
「勘違いしてるようだから言うが、オレは別に仕事の為にお前を誘ってる訳じゃねえ」
「…離して頂戴、不快だわ」
「そりゃ失礼」
嫌悪を隠さずに睨みつければ、おどけたように口角を上がる。あっさり解放された手首を僅かに見つめてから引っ込め、ヒールの音を殺しながら静かに距離を広げた。
眉間に皺が寄り険しい顔をしているだろうが、知った事か。ティアが人に触れられる事を良しとしないのは周知の事実で、長い付き合いであるラクサスだって当たり前のように知っているはず。呼び止めるなら声だけでも十分だっただろう。話を聞くかはともかく、足くらいは止めてやる。
だというのに、と眉を吊り上げる。兄弟なら問題ない、何かとくっついてくるルーも半ば無理矢理ではあるが慣れた。アルカも多分大丈夫で、弟の従者達も平気だと思う。何を血迷っ
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