折れ曲がりストレート
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けど、そうじゃないでしょう。ギルドの為、みたいな建前で私を引き込もうなんて冗談じゃないわ」
真っ直ぐに、逸らさずにラクサスを睨む。
「アンタが許せないのは、アンタの思い通りにならない現状なんじゃないの?」
―――――どこかで、何かが割れる音がした気がした。
「……そうかよ」
真っ直ぐに突きつけた言葉に、苦々しい顔でラクサスが吐き捨てる。
交渉は決裂した。ラクサスの言葉が本心であったとしてももうティアには届かないし、既に言いたい事を言い切ったティアにそれを引き下げる気なんてない。
「お前は、そう思うのか」
「ええ、アンタのやり方は間違ってる。アンタに本当に力があるなら、弱い者虐めなんて心底意味のないものだととっくに気づいているでしょうから」
青い瞳が、射貫くようにこちらを見ている。あの頃に向けられていたのと同じ色の、別人の目を思い出した。
……エルザでは駄目だった。彼女はマカロフを本当の親のように慕っている。ミラは候補にあったが、隣に彼がいる今こちらには付かないだろう。他の二人はそもそもギルドに滅多にいないから論外として、最終的には消去法で選んだ節はあったのだけれど。
「…そうか」
それでも、少しだけ。
彼女なら。何もかもを諦観したように眺める彼女なら、もしかしたら、なんて。
「お前なら解ってくれるって、思ったんだがな」
『いいんじゃねえの?それでギルドがいい方に向かってくなら、オレは大賛成』
そう言って笑った、アイツと同じように。
失敗したと、即座に悟った。何を、かは解らない。けれど、確実に何かを間違えた。
投げる言葉を間違えた。向ける目を誤った。接する態度にミスがあった。どれが原因なのかに理解が追い付かなくて、それが知りたくてラクサスの目を見つめる。
何を間違えた?どこでしくじった?何が原因だった?―――ほんの僅かでもその顔が悲しそうに見えた、その原因はどこにある?
「ねえ」
「無駄な時間取らせて悪かったな。この後仕事だから、もう行くわ」
「っ、こっちの話も聞きなさいよ!」
背を向けて軽く手を振る姿に、噛み付くように呼び掛ける。
別に、ラクサスが悲しそうだろうがどうだっていい。生きているしそういう時だってあるだろう、程度だ。いつもならそんな事をわざわざ気にしたりしないし、それで声をかけたりもしない。
だが、今は。今の彼の顔は、このまま放っておいていいものではなかった。
「何で私なの、私なら解るって何を根拠に思ったの!そう思ったくせに、何であっさり引いていくの!?」
迷子のような、ではない。
迷子になって、なのに誰にも探してもらえないと知ったような、そんな顔。
「……答えなさ
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